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【オーディオブック】The Nickel Boys (2019)

The Nickel Boys (2019)

時間:6時間46分

発音: アメリカ英語

評価: 4.5 out of 5

 

フロリダ州に実在したDozier  Schoolでの事件を基にしたフィクション。1900年〜2011年まで運営されていたDozier  Schoolの敷地内から墓標のない遺体が数十体発見された。The Nickel Boysの冒頭でも大学の発掘チームが学校の敷地跡から四十数体の遺体を発見したところから始まる。

 

1960年Tellahasseeで祖母と2人暮らしをしていた黒人少年Elwood Curtisは勤勉で、大学進学を目標としている真面目な少年だった。ある日、同乗させてもらった車が盗難車であったことが発覚し、少年院に入れられてしまう。Nickel  Academyでは人権を無視した運営がまかり通っており、正義感の強いエルウッドは、いじめられっ子を庇った事でさらなるトラブルに巻き込まれていく。

 

ここからはネタバレ感想

 

冒頭でNickel  Academy跡地から多数の少年たちの遺体が見つかる事が分かっているので、エルウッド少年の安否を心配しながら読み進めた。途中から、現在の大人になったエルウッドが過去を語っている形式である事がわかるので、無事に出所出来たのだなと安心したのだが、なぜか違和感がある。あんなに世話になって心配をかけた祖母の話が一切出てこないのだ。

 

最後に、実はエルウッドはNickel  Academyからの脱走に失敗し殺されており、Nickel内での親友だったTurnerがエルウッドを偲んでエルウッドの名とIDで40年間生きていた事実が明かされる。だから唯一の親族だった祖母の話が出てこないし、微妙な違和感を感じたのだと。気づいた時にとても悲しかった。

 

1960年代のアメリカでは、黒人に生まれたというだけで運命が全力で自分を押しつぶそうとしているように感じられて辛かった。テーマが重いのと、過去と現在のストーリーラインが混ざっているので、やや難しかったが読んで良かったと思えた一冊。

 

YL: 8くらい

語数:63,742語

 


The Nickel Boys: the new novel from the Pulitzer Prize-winning author of The Underground Railroad

【オーディオブック】A Prayer for Owen Meany(1989)オウエンのために祈りを

A Prayer for Owen Meany(1986)   オウエンのために祈りを

 

時間:26時間53分

発音:アメリカ英語

評価:5 out of 5

 

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【あらすじ】

5歳児ぐらいの身長、一度聞いたら忘れられないへんな声、ずば抜けた頭脳を持つぼくの親友オウエンを、ある日過酷な運命が襲った。ピンチヒッターで打ったボールが、大好きだったぼくの母の命を奪ったのだ。ぼくは神様の道具なんだと言い続ける彼にとって、出来事にはすべて意味がある。他人と少し違う姿に生れたオウエンに与えられた使命とは?米文学巨匠による現代の福音書。

(Book データベースより)

 

【感想】

1989年に発表された作品を今更読んでみたのですが、すごく良かったです。物語自体に独特なペースがあって、完全にストーリーに飲み込まれてしまった感じ。初めてのジョン・アーヴィング作品でしたが、波乱万丈な物語展開が特徴の作家さんらしく、物語好きな私の好みにピッタリでした。

 

物語の中心は1950年代〜60年代にかけてのアメリカ。ニューハンプシャー州で生まれ育った二人の少年のお話です。オーウェン・ミーニーは成長期をすぎても身長150cmにも満たず、声変わりもしていない変わった男の子。主人公はオーウェンの親友ジョン・ウィールライトで、1987年の現在から過去を振り返る形で物語が進んでいきます。

 

1950年台のアメリカの田舎町での生活が生き生きと描かれているのですが、しばらく読み進めると、語り手である1987年のジョンの周りに大親友オーウェンの存在がなく、これはオーウェンについての長いobituaryなのではないかと気づかされます。オーウェンはいつ、どのような形で主人公の人生から姿を消してしまうのか。その謎が最終章にむけて少しずつ明かされていくのですが、楽しい少年時代のエピソードを読んで主人公たちに愛着が湧いてしまうと未来のことを知るのが怖くて、先を知りたい気持ちとこのままここで時を止めてしまいたい気持ちのせめぎ合いでした。

 

この作品を読んで、ベトナム戦争は当時の人々にとって大きな関心事だったのだなと実感しました。1968年当時を生きていない自分にとって、徴兵されるかもしれない、戦争で死ぬかもしれない・・という底知れぬ不安は今までに体験したことのない感情でした。

 

オーディオブックは渋い男性ナレーターの声でかなりゆっくりでした。オーウェンの甲高い声が「目玉おやじ」のようで、複数人の会話でのオーウェンの声の使い分けが素晴らしかったです。この作品はオーディオブックがオススメです。

 

YL:8

語数:236,061語

 


A Prayer for Owen Meany: A Novel


オウエンのために祈りを〈上〉 (新潮文庫)

 

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デュッセルドルフにて。遠目から見たら犬を撫でているのかと思いきや・・犬を造ってました。

【オーディオブック】The Godfather

The Godfather (1969) /ゴッドファーザー〈上〉

時間:18時間8分

発音:アメリカ英語

速度:150語/分前後

評価:4 out of 5

The Godfather

 

 

【あらすじ】
全米で最も強大なマフィアの組織を築き上げた伝説の男、ヴィトー・コルレオーネ。絶大な力を持つこのマフィアのドンを、人々は畏敬の念をこめてゴッドファーザーと呼ぶ。そんな彼の三男マイケルは、家業に背を向け家を出ていた。が、麻薬密売をめぐる抗争でドンが瀕死の重傷を負った時、彼は、父、家族、そして組織のために銃を手に起ち上がった…
(Amazonより)

 

【感想】ネタバレあり
名作と名高い映画「ゴッドファーザー」を鑑賞したことがなかったので、まずは原作から読んでみることにしました。

 

シチリア系マフィアのドン、ヴィトー・コルレオーネは情に厚く、義理人情を大切にする男。序盤は「友達を大切に」という本か!?と思うくらいゴッドファーザーがいかに人を大事にするかというエピソードが語られます。ゴッドファーザーは、論理を展開して自分のやりたい方向に人を説得するのですが、相手がそれに従わないとなると殺ってしまうのが堅気と違うところ・・・。頼りになる懐の大きい男だけれども、あまりにも義理と人情に篤すぎてあの世界で生きていくのは大変そうです。

 

まだ映画のほうは見ていないのですが、原作と映画ではドンの死に方が違うようです。原作ではドンは引退後に庭いじりをしているところで心臓発作に襲われ、子供や信頼する部下に見守られながら「Life is beautiful」と言いのこして亡くなるのですが、映画版では誰も居ないところで孤独に死んでしまうらしいです。映画と原作でどのようにしてこの違いが生まれたのかが気になりました。

 

3部作ですが、続きは3男マイケルやコルレオーネ家のその後に続くわけではないようです。ドンがいつか言ったように、マフィア一家の子孫がいずれは政治家になることもあるかもしれない・・という3代にわたる物語を読んでみたかったかな。1作目は面白いけれど、夢中になるほどではない作品でした。

 

YL: 7.5 (概算)

語数:167,000(概算)

 

ゴッドファーザー〈上〉

The Godfather

【オーディオブック】The Buried Giant 

The Buried Giant (2015) / 忘れられた巨人

時間:11時間48分

発音:イギリス英語

速度:130語/分前後

評価:3.5 out of 5

 

【あらすじ】

アーサー王による統治後、イギリスは深い霧に包まれ、人々は忘却の世界にいた。アクスルとベアトリスの老夫婦は、居住していた共同体の人々から夜間にロウソクを使用することを禁止されたことに納得がいかず、離れた地に住む息子を頼って旅に出ることにした。ところが、息子となぜ離れ離れに住んでいるのか、どこに行けば息子に会えるのかも分からない。全てが忘却の彼方にあり、息子の顔や声さえ思い出せないのだ。それは老夫婦だけの問題ではなく、この地に住む全ての人々の記憶が曖昧だった。

夫婦は旅の途中、サクソンの戦士と孤児、アーサー王の甥であるグウェインと出会い、それぞれが自分の過去と向き合いながら、深い霧の中を進んでいく。

 

【感想】ネタバレあり

深い霧に包まれ、全てが曖昧な物語と同様、読み手も深い霧の中を手探りで進んでいくような物語でした。時代設定は、アーサー王による統治の少し後、6-7世紀頃でしょうか。ブリトン人とサクソン人はかつて争っていたものの、霧のせいで過去の記憶を無くし、現在は共存しています。

 

なぜ人々は過去の事を忘れてしまうのか、戦士と騎士がドラゴン退治に向かうのは何故なのか。物語の意味が後半まで明かされないのがもどかしいのですが、全く過去の記憶がない登場人物たちの不安な気持ちを味わうのもこの本を読む醍醐味なのかもしれません。

 

ここからネタバレ。

 

 

物語が進むと、皆の記憶を消していた“霧”の正体は、雌ドラゴンQuerigの吐く息であったことが判明します。人々の記憶を全て消すことで、ブリトン人とサクソン人の間にある民族的な諍いを忘れさせ、世界に平和をもたらしていたのでした。

 

ドラゴンを退治し、皆の記憶を取り戻す=“The Buried Giant”を掘り起こすことは必要な事なのでしょうか。ドラゴンに記憶を消されたことで、人々は民族間の諍いも忘れ、幸せそうに暮らしているようにみえます。強制的にでも忘れさせた方がよい記憶もあるのではないか・・・と本を読み終わった後も、このストーリーをどう解釈したらよいのか分からずにしばらく考えていました。

 

The Buried Giantが初めてのカズオイシグロ作品だったので、この後Never Let Me Go も読んでから改めて考えてみました。Never Let Me Goは、臓器移植提供者として育てられたクローン人間たちの物語です。彼らは寄宿学校で通常の子供たちのように教育を受けますが、20歳を過ぎると臓器提供プログラムが始まり、30歳頃までには皆役目を終えて死んでしまいます。クローンの子供たちは社会に刃向かう事も無く、静かに運命を受け入れるのです。二つの作品を比べてみると、両作品とも、登場人物たちに人生の選択権はないものの、日常生活においてはそれなりに幸せそうにみえます。ただ、「大多数の人々を幸せにする」「平和を維持する」という大義名分のもと、自由意志を奪われたとしたら、それはもう「人間」として生きているとは言えないのではないかと思いました。その反面、今世界中で起こっている民族紛争や宗教的な諍いを見ると、全人類の記憶を消し去ってしまわない限り平和は訪れないのではないかとも思ってしまうのです。

 

グルグルと考えても結論の出ない不思議な作品でした。実際にはドラゴンが現れて皆の記憶を消し去ったり、臓器採取用のクローン人間を作ったりすることなどあり得ないのですが・・・。

 

共に過ごしてきた記憶が無くても夫婦の絆は保たれるのか、来るべき別れの時が来たらどのような事を思うのか・・・等々、色々と考えさせられたストーリーでした。いい話ではあったものの、ちょっと(だいぶ?)退屈かな…。でも「あー、面白かった」「つまらなかった・・」だけではなく、生き方について考えるきっかけになる本でした。

 

YL: 8 (概算)

語数:87,500語(概算)

 

The Buried Giant

忘れられた巨人

 

【今日の一枚】

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アラスカのキノコ

【オーディオブック】A Man Called Ove

A Man Called Ove (2014)

時間:9時間9分

発音:アメリカ英語

速度:160語/分前後

評価:5 out of 5

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【あらすじ】
住宅街の見回り役を自主的に行っている59歳のOveは頑固で変わり者。近隣住民のささいなルール違反にいつも腹を立てては文句を言っている。

ある日一人暮らしのOveの隣家に若い夫婦が引っ越してきた。旦那は背ばかり高く明らかに脳まで血液が登っていないし、奥さんは3歳7歳の女の子にくわえ、臨月腹を抱えている。しかもイラン人だという。

自分以外の全てが気に入らないOveだったが、グイグイと距離を縮めてくるお隣さんと関わっていくうちに少しずつ変化が現れはじめる。

 

【感想】
切なくて涙が出ました・・・。頑固な偏屈ジジイと思われていたOve(ウーバ)の過去と現在が交互に語られていくにつれ、何故彼がここまで意固地になってしまったのかが少しずつ明かされます。

 

バカ正直で融通がきかないウーバと社会を繋いでいたものが無くなってしまった時。素直に悲しみを表現出来ないウーバの不器用さが切ないのです。

 

この世にたった一人となってしまったウーバが徐々に周囲との関係を築いていく過程が心にしみました。

 

飄々としている主人公のウーバのキャラに合わせたかのように、物語自体も淡々と進んでいくのですが、その中にもユーモア溢れる文章がところどころあり、全く飽きることがありませんでした。「人は生きたように死んでいく」という言葉を実感した物語でした。

 

スウェーデン語からの英訳。ウーバが若いころのムラ社会的な陰湿さ、職場でのいじめや心理描写など、そのまま舞台が日本でも通用しそうです。

 

ミレニアムシリーズ、100歳老人も良かったので、北欧小説をもっと読みたいと思わせてくれた一冊。

A Man Called Ove (English Edition)

YL: 8 (概算)

語数:80,000語(概算)

 

【今日の一枚】

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Renoで見かけた落書き

 

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