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2014年10月のアーカイブ

【ドキュメンタリー】Good Hair (2009)

【あらすじ】

アフリカ系アメリカ人のクリス・ロックは、幼い娘から、”パパ、どうして私の髪は good hair じゃないの? ” と質問される。幼い子供がなぜそのような事を考えたのか?クリスはアメリカの黒人女性の間で”good hair” とされているストレートヘアーに関する真相を探るためドキュメンタリーを製作した。

 

 

【感想】

このドキュメンタリーを見ることになったきっかけは、アメリカの美容室での会話だった。美容室で「ストレートパーマをかけたい」と相談したところ、アメリカで売られているストレートパーマ液は、黒人さん用の非常に強いものなので、決して薬局で買って自分で使わないほうがいいと忠告された。それで今月日本に帰国した時に日本の美容室でストレートパーマをかけたのだが、その時にアメリカの黒人女性はストレートヘアの人が多いという世間話をした。担当の美容師さんはフランスが大好きで、よくパリのサロンに勉強に行っていらっしゃる方。その方によると、パリの黒人さんは編みこみヘアの人が多いとのことだった。ストレートヘアはアメリカ黒人女性だけのトレンドなのか?そう思ってネットで情報を探しているうちに、Good Hairというドキュメンタリーがあることを知った。

 

テレビで見かける黒人女性のセレブは、皆さん見事なストレートヘアなので、ストレートヘアの黒人さんもいるのかと思っていたが、あれはストレートパーマか、weaver とよばれるつけ毛だったらしい。アメリカの黒人女性の間では、「ストレートヘアが良い髪だ」という共通認識のようなものがあり、ナチュラルな縮毛のヘアスタイルには強いコンプレックスがあるようだ。

 

彼女たちは、かなりの時間とお金をストレートヘアにつぎ込んでいる。アメリカの黒人人口は12%だが、彼らはアメリカのヘアケア商品の8割を購入している。黒人特有の縮毛は、”nappy” と表現され、髪の毛は”relax” した状態、つまりストレートでなければならないという。コメディアンのポール・ムーニーは、”僕達の髪がリラックスしていると白人もリラックスする。僕達の髪の毛がリラックスしていない(=縮毛)だと、彼らは不快に思う”とまで言っている。

 

黒人の縮毛をまっすぐにするパーマ液は「リラクサー」と呼ばれている。水酸化ナトリウムを主成分とする劇薬で、コーラのアルミ缶が溶けるほどの威力がある。このリラクサーが地肌につくと、まるで頭に火がついたような痛みを感じるそうだ。多くの黒人女性達(男性の一部も)は、毎回この痛みに耐えてストレートパーマをかけている。そして早い子は、2歳頃からこのストレートパーマをかけ始める。

 

Weaverというつけ毛は人毛を加工したもので、1000ドル〜3500ドルもの値で売られている。セレブたちは当然のようにこのweaverを使用しているし、一般女性の間でも流行しているという。地毛に縫い付けているので、いったん装着すると1〜2週間に一度サロンで洗髪しなければならないし、6週間に一度付け直さねばならず、メンテナンス費用もかかる。

 

このウィーバーはインド人女性の髪の毛を加工して作られている。インドにはトンシュアという宗教儀式があり、85%のインド人は一生のうち、少なくとも2回は剃髪するという。髪の毛は虚栄心と見なされており、坊主頭にして髪の毛を神に捧げるという意味合いがあるらしい。寺院で集められた髪は加工され、1000ドル〜3500ドルもの高値で取引される。持ち主のインド人女性には一銭も払われないし、彼女たちは自分たちの髪の毛の行方さえ知らない。他人が捨てた虚栄心を拾って身に付けるというのは皮肉な話だ。

 

このように多額の費用と時間をかけた大切な髪なので、たとえ彼氏や夫であっても髪に触れるのはご法度。黒人女性の髪は、いついかなる理由があっても触れてはならないのだ。

 

黒人女性の夫や彼氏は、彼女たちがストレートヘアを維持するための情熱を理解することを求められる。お母さんが黒人女性であれば、このような習慣は当たり前の事として知っているが、このストレートヘアに対する考え方は黒人以外にはあまり知られていないという。「Good Hair」が発表されたことで、今まで語られる事のなかったストレートヘア信仰が公になり、黒人女性からは批判の声も上がったらしい。

 

この作品を観て、オンライン英会話の先生のお宅にお邪魔した時の事を思い出した。その白人の先生は、10代の黒人の女の子を養女として育てている。その子は生まれながらにして重度の障害のため寝たきりで意思表示も出来ず、全介助が必要なため、ご夫婦で面倒を見ているとのことだった。ある時、黒人女性の介護人の方が来られた時のこと。その子の髪の毛が縮毛のままなのを見て、「なぜストレートヘアにしてあげないのか!」と非難するような口調で言われたという。その白人ご夫婦は、なぜ縮毛をわざわざストレートにしないといけないのか、寝たきりの子なのにパーマをかける必要などあるのか、と戸惑ったらしい。白人にとっては、黒人の女の子の髪が縮毛のままであることの何が問題なのかが分からなかっただろうし、黒人女性のヘルパーさんにとってみれば、ちゃんと可愛がってもらっていないとさえ思ったのかもしれない。

 

ストレートヘアになること=白人のような髪の毛に近づくこと、と考えると、いまだに人種差別が根底にあるのではないかと思える。黒人女性たちがしたくてしていることだから何をしようと自由なんだけれども、自然な状態である縮毛が悪いこと、と信じられているのは残念なことだと思う。クリス・ロックさんの娘さんの髪の毛も、綿毛のようにフワフワですごく可愛いと思うのだけれど。彼女も物心がつく頃には既存の美意識に影響されて「ストレートヘアになりたい」と思うのだろうか。

 

アメリカ黒人女性の髪に込められた思いを知ることが出来る良い作品だった。

 


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【オーディオブック】Stiff: The Curious Lives of Human Cadavers

Stiff: The Curious Lives of Human Cadavers

時間:7時間59分

発音:アメリカ英語。声があまり良くない。

速度:170語/分前後。

オススメ度:5 out of 5. 死体のことを楽しく学べる。

 

【あらすじ】

死体について知り得る事の全て、と言っていいのではないかと思えるほど、あらゆる角度から死体について語られている本。

 

【感想】
死体はこれまで、ギロチンのテスト台になったり、スペースシャトルに乗り宇宙に送り出されたり、車の衝突事故テストに使われるなどして、生きている人間の役に立ってきた。この本は、死体と科学の発展の関係について真面目に紹介しつつも、あまり重くなりすぎず、時には冗談を交えながら、死体の”有効活用”ぶりを伝えている。ここまで死体の話が面白くていいのか!?と、多少の後ろめたさを感じつつも、心から楽しんで読んでしまった。

 

どの章も面白かったのだが、その中でも特に印象深かったエピソードを幾つか紹介しておく。

 

犯罪科学捜査のため、死体の腐敗具合を研究している大学グループのエピソード。犯人が死体を隠す際のあらゆる場面を想定し、死体を車のトランクに入れた状態を再現したり、庭に放置して腐敗具合を観察したりするそうだ。その光景、匂いを想像するだけで口の中に苦いものがこみあげてきそうになった。さらにその科学者の方は、遺体からサンプルを取る時、誤ってハエを吸い込んでしまい喉で羽ばたかれたそうだ。世の中には想像を絶する辛い仕事がある事を知った。

 

フランスにおいて、ギロチンで断首された頭を観察した人の話も生々しい。切断された頭はコロンと転がったあと、目をパチパチして半開きまで瞼を閉じる。そこでその人の名前を大声で呼ぶと、意識のある様子でゆっくりと目を開いてこちらをみた。また目を閉じたので大声で呼ぶと、二回目もゆっくり目をあけ見つめてきたが、3回めには反応が無くなったそうだ。脳への血流が途絶えた後、組織に残っている酸素で僅かなからも活動があるのだろう。

 

地雷撤去の時にどんな履物が安全かという実験では、死体20体を天井から吊り下げ、いろいろな種類の靴を履かせて地雷を踏ませる。そして足の吹き飛び具合から靴の安全性を調べるそうだ。いくら死んでいるとはいえ、地雷で吹き飛ばされるのは恐ろしい。

 

飛行機墜落事故現場の死体を調べる専門家は、死体の損傷具合から爆発物が仕掛けられていなかったかを調べている。万が一飛行機が墜落した時の事のために、どこらへんに座っていたほうが安全か、という質問に対しては、墜落の仕方のよって違うので一概には言えないということだった。「それでも、あなたならどこに座るか」と食い下がった著者に対して、「ファーストクラス」と言った専門家の答えが面白かった。専門家を以ってしても墜落時に安全な席を予想出来ないならば、万が一落ちた時の安全性より快適さを追求したほうが良さそうだ。

 

人体に関する用語や犯罪科学用語などが使われているものの、一般人向けに分かりやすく説明されており、読みやすい本だった。グロいのが苦手でなければお勧め。

邦訳は「死体はみんな生きている」。

YL:8

語数:80,531語


Stiff: The Curious Lives of Human Cadavers


死体はみんな生きている

 

【今日の一枚】

アリゾナ州で見かけたカラス。

肉!

中国出身の職場の人が、お昼に近くでやっているランチ付きのセミナーに行こうと誘ってくれた。そこのスタッフ限定となっていて、うちは全く関係ないのだけれど、誰もチェックしないから大丈夫という。でもそれは食い逃げというものでは・・・?

 

あまりにも関係なさすぎる所だったのでさすがにヤバイと思い、行かないことにしたのだけど、お昼までの間に3度くらい誘われた。そして中国の人たちは連れ立ってタダ飯を食べに行ったのだけど、彼らと心地よく行動を共にするには、これまでの常識やルール、周りの目などいろいろな”自分の殻”を打ち破る必要があると感じた。全く気にせず我が道を行くのもいいけど、ここでは彼らがマジョリティなのだ。

 

その後1人で持参のおにぎりを食べていたら、お土産として持って帰ってきてくれたのがコチラ。

 

なんと紙コップにぎゅーぎゅー詰めにされた鶏肉!何から何まで日本国内にはなかった発想だわ・・・と妙に感心した。なんかもう色々と無茶苦茶だけど、気にかけてくれて有難いと思ったのでした。

 

【今日の一枚】

グランドティトン国立公園近く、水辺の景色。

【オーディオブック】 Edge of Eternity (The Century Trilogy #3)

Edge of Eternity (The Century Trilogy #3)

時間:36時間55分

発音:イギリス英語。180語/分前後と早めだが、ゆっくりに聞こえる。

速度:180語/分前後。

オススメ度:4 out of 5.  3世代にわたる壮大な物語。

 

The Century Trilogyラスト。1巻目の主人公達の孫の世代となり、第二次世界大戦後からベルリンの壁崩壊までを中心に物語が進んでいく。
秘密警察に抑圧され、移動も、資本主義国の流行歌を聞く自由さえもない冷戦時代の東ドイツのストーリーは読むのが辛かった。現実の共産主義は、スターリンが掲げた理想の国家とは程遠く、イデオロギーを守るために、特権階級以外の人々が苦しんでいた。ベルリンの壁が崩壊するまでの28年間、東ドイツで暮らした一家の様子は、1980年台に起こったこととは思えないほどの酷さだった。

 

資本主義のアメリカも大きな問題に直面していた。黒人の人種差別撤廃を求めた公民権運動、キューバ危機、ベトナム戦争等、激しい意見の対立があり、アメリカ人同士の争いがあった。教会の日曜学校を狙った爆破事件で4人の子供たちが犠牲になったこと、キング牧師の暗殺など、数えきれないほどの犠牲を払い、主張し続けてきたうえで現在の権利を勝ち取ったことを実感した。

 
3世代、5家族+αにわたる人々の視点を通じて過去100年の歴史を垣間見ることが出来た。西側の視点に偏っていると感じる部分はあったものの、このフィクションをきっかけに、歴史により興味をもつきっかけになったのはよいことだと思う。共産主義やナチスの迫害を逃れて西側に移民してきた人々は、離れ離れとなった家族と死ぬまで会えない事もあった。このCentury Trilogyを読んだことで、現代も様々な問題があるものの、今はとても幸せな時代だと感じた。

 

3巻合わせて約100時間の大作だが、ジョン・リーのナレーションが心地よく、嫌になることなく聞き続ける事が出来た。3巻の最後に、「ジョン・リー」という子が登場するのだけれども、これはナレーターのジョン・リーから名付けられたのかも?ジョン・リーは、ケン・フォレットの大聖堂シリーズの朗読も良かったし、今後の作品でも是非ナレーターを務めてほしい。

 

YL:7.5 (概算)

語数:360,000語(概算)

Edge of Eternity (The Century Trilogy) (English Edition)

 

【今日の一枚】

駐車場にて。落書き?それとも壁画?

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