【読書メモ】米国人一家、おいしい東京を食べ尽くす

米国人一家、おいしい東京を食べ尽くす マシュー・アムスター=バートン著

 

中野のアパートで家族と共にひと夏を過ごすことになった
アメリカ人フードライターが、立ち食いうどんや居酒屋、
コンビニ、チェーン店に至るまで、
ごく普通の日本の「食」と日常をユーモアたっぷりに、
しかし日本文化への鋭い視点を交えてつづる。

スーパーで買い物し、ゴミ分別に悪戦苦闘する、
単なる「観光旅行」ではない東京の日々。
8歳の愛娘アイリスへの子煩悩っぷりも楽しい、
最新・異国人食紀行!

「東京はどこか非現実的な都市だ。映画や小説に登場するような、
ネオンサインがあふれる仮想現実都市(サイバーシティ)。
商店街を歩けば、焼き鳥のにおいが鼻をくすぐる。
子供は安心して外で遊べるし、親が付き添わなくても
子供ひとりで電車に乗って遠出ができる。
アメリカのおおかたの高級レストランよりも
丁寧な接客態度で接してくれるドーナツチェーン店もある。
犯罪や薄汚れた風景、味気ない食事とは無縁の巨大都市(メガシティー)」
Amazonより抜粋

 

【感想】

気軽に読めて面白かった!

 

作者はフードライターで、もともと日本贔屓ということもあり、大概の日本食は美味しく食べられるのだが、そんな彼でも受け付けられないものがあった。それは「ジュンサイ」。ヌメヌメした感覚を、「池から採ってきた鼻水」と称している。思いもよらない表現方法に脱力した。それでも残さず食べたそうなので立派。

 

作者の一人娘、8歳のアイリスちゃんも可愛らしい。日本食好きのフードライターの父の英才教育のお陰で、乳児の頃から日本食に慣れ親しみ、日本でも穴子の骨などを楽しんでいる。彼女が日本食だけでなく、キッザニアでの職業体験や、1人でのお使いを経験するなど、子供の目から見た日本の様子を知るのも楽しかった。

 

作者の奥さんは来日前、日本食を殆ど食べた事がなく、日本食には懐疑的だったらしい。どちらかといえば、奥さんのような態度のアメリカ人が殆どで、日本食の知識があったとしても、スシやラーメンを食べたことがある程度で、トーフは体に良いらしいけど美味しくなさそう、というくらいのものだと思う。海外の方たちに日本食を広める際には、日本大好きな夫の感想より奥さんの言動のほうが参考になるんだろうなと思った。

 

日本の食べ物だけに限らず、自動販売機の不思議さや東京の街並み、お風呂、パチンコ、ラッシュアワーなどについても触れられている。作者は日本に好意的で、東京に恋していると言っても良いくらい愛溢れる文章が多い。

 

アメリカに来てから何人かのアメリカ人に「米国発祥の食べ物ってなに?」と聞いたことがある。答えは、バーベキュー、ピザ、メキシカンというものだった…。全然アメリカ発祥じゃないし、バーベキューに至っては原始人の発明だと思うのだけれど。強いていうならハンバーガーくらいか。日本ならではの食文化があり、しかも健康的というのは幸せな事だと思う。この本を読んで、改めて日本の食文化の良さを実感した。

 

作者が紹介するお店や食べ物の中には、まだ一度も食べた事がないものもあり、日本人の自分が読んでも今すぐお財布を握って家を飛び出したくなるお店ばかり。読むだけで食欲5割増になる本。

 


米国人一家、おいしい東京を食べ尽くす

 

【今日の一枚】

サウスダコタ州で見かけたマウンテンゴート。

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