【読書メモ】 アメリカ居すわり一人旅

アメリカ居すわり一人旅 (角川文庫)

 

「アメリカに行けば何かがある」と、夢と貯金のすべてを賭けて一人渡米した群さんの、愉快なアメリカ観察記。旺盛な好奇心と元気さにひきかえ、語学力と忍耐力がほとんどないので、入国審査に始まり、宿泊、食事問題など、次々と日常トラブルが起きてしまう。が、特殊なアルバイトが見つかって、ありがたいお金と友情を手にすることが出来たのであるが…。観光や買い物に走らずに、あるがままの生活をそのままアメリカで過ごしてきた、無印エッセイアメリカ編。

「BOOK」データベースより

 

【感想】

アメリカに行けば人生を変えるくらいの素晴らしい出来事があるに違いない!と、3ヶ月間渡米してみたものの、特に大したことは起こらなかった話…。

 

1954年生まれの作者が20歳の頃だから、1974年前後か。この頃のアメリカにおける日本人の扱いが非常に興味深かったです。ニュージャージー州の田舎道を歩けば誰もが物珍しそうに振り返り、入国審査では女一人ということで怪しまれ、入国管理局まで行かなければならなかったというほど。

 

さらに、自動販売機の前では、「自動販売機など見たことないだろう」と自慢され、「コーヒーを飲んだことがあるか?」と聞かれる始末。40年前の話とはいえ、昭和50年頃は、日本もだいぶ発展していたはず…。日本もそれ程遠くない昔に発展途上国扱いされていた時代があったんだなぁ、と感慨深かったです。

 

作者がバイトしていた下着メーカーの話も面白かったです。下着の体型モデルとして、各年代のいろんな体型の女達が一部屋に集められて待機するのですが、そこで繰り広げられる日常は、ただの旅行者としてアメリカを見学するだけでは得られない、本当のアメリカ人の姿を垣間見ることの出来た貴重な体験だったと思います。

 

 

行く前は、私の人生を変えるくらいの重大な出来事だと思っていたが、帰ってみたら、「そんなこともあった」くらいのことになっていた。英語がペラペラになったわけでもなく、とっても楽しいことがあったわけでもない。

 

という一文が心に刺さりました。1週間の旅行とは違い、長期滞在ともなると、異国での暮らしも日常になります。よほどやりたいことを決めておかないと、日々流されていってしまう・・・。アメリカ生活にも多少慣れてだらけてしまっていた今の自分への警告のように感じ、ドキっとしました。もっとアクティブにならねば….。

 

 

【今日の一枚】

近所の美術館。iPhoneを持つ手が滑って、変なところでシャッターを押してしまったら、正面から撮るよりかえっていい感じになったような気が !

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