伊藤サムさんの、英語は「やさしく、たくさん」。多読を始めた時にお世話になった本です。その時は「読むこと」に意識が集中していたので、後半にあったライティングのアドバイスについては殆ど頭に入ってきませんでした。今回ライティングに力をいれるにあたり、長らく英字新聞の新人記者を鍛えてこられた経験から、素晴らしいライティングのコツを教えてくださっていたのではないかと思い立ち、あらためてライティングについて書かれた部分で気になった箇所をピックアップしてみました。
まずは「よい英文」について。大学受験対策の影響か、「難しい話題を複雑な構文など知っている文法知識を総動員して書く」というイメージが染み付いていました。伊藤先生が提唱する「よい英文」は、それとは全く逆。
よい英文を書く指針は、「難しいこともやさしい表現で書く。文章は短く切る。ずばり結論から書く」ことです。現代英語では「うまく書く」よりも、コミュニケーションとして相手に「分かりやすく書く」ことがとても大切です。世界中の英字新聞界に伝わる「書き方の最高奥義」は、
Keep it simple
です。
簡単な文章しか書けない・・・と悩んでいましたが、シンプルなのは別に悪いことではない、ということが分かりました。
そして「英語で書くコツ10カ条」
1. シンプルに書く。やさしい文を心がけるとミスが減り、論旨は明快になる。
2. 最初に結論を書く。もったいぶらずにズバリ要点から書くと読者に親切。
3. 短いセンテンスで書く。ひとつの文にはひとつのことしか書かない。
4. 具体的に書く。抽象的な表現が多いと分かりにくい悪文に。
5. どんどん書く。書けば書くほど表現の細部にまで神経が研ぎ澄まされて上達する。
6. 日本語から訳す場合はまず和文訳。原文では略されている事柄を明らかに。
7. 辞書類を活用。和英辞典で調べたごくはそのまま使うのではなく、英英辞典などでチェック。
8. 自信が持てない語句は使わない。あやふやな知識のまま使うことは避け、やさしい表現に言い換える。
9. 英語の基礎は固めておく。社会人は冠詞の使い方や構文などを忘れているので、基礎を総復習しておくと、文の組み立てが容易に。
10. 書く時も「英語で考える」。自分の英文がどんな意味にになるのか正確にわかるようになればミスは激減。
そしてこの10カ条を踏まえ、書く力を伸ばすには、
- 英語の基礎(冠詞、構文など)を固める
- やさしい英語にたくさん接する
- 英語をどんどん書く
- 力のある人に添削してもらう
- 英語を書くための要点を学ぶ
とあります。
これまで「やさしくたくさん」を実践してきて、ある程度「読みやすい英文のイメージ」というものが頭のなかにあります。和文英訳のように「日本語で考えたものを組み立てた」英文ではなく、これまで読んできたものの中から引き出すような感じで書きたいのですが、書きたい表現はそこにあるのに喉まで出かかって出ないような、もどかしい気持ちになることがあります。書く力を伸ばすアドバイスにあるように、やさしい表現にたくさん接し、英語をどんどん書いて添削してもらう、という事を繰り返すのが、シンプルながら確実な方法であるように思いました。
「大人レベルの文章を書きたい」と思うあまり、無理に複雑な構文を意識するより、言いたいことを今の自分が書けるレベルで素直に表現するのが良いのかもしれません。
【今日の一枚】
液だれがオドロオドロしい感じ。