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【オーディオブック】Red: A History of the Redhead

Red: A History of the Redhead (2015)

 

時間:6時間36分

発音:イギリス英語。作者による朗読。

速度:160語/分前後。

評価:4.5 out of 5

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赤毛の筆者が、これまでの経験とリサーチを元に、赤毛に関する科学、歴史、文化などをまとめた一冊。

 

赤色の髪の毛を持つ人々の割合は全世界で2%程度。MC1R遺伝子の突然変異によるものだそうです。劣性遺伝のため、両親から受け継いだ遺伝子のどちらにもMC1R遺伝子の変異がなければ赤毛になりません。2本の遺伝子のうち1本でも正常なMC1R遺伝子があれば赤毛にはならないため、家族の中で一人だけ赤毛が存在することもあり得ます。筆者も家族の中で赤毛は一人だけ。筆者のお母さんは彼女の赤毛の原因を、「妊娠中にたくさんトマトジュースを飲んだ」、「赤毛の牛乳配達屋さんがいたわね・・」などと冗談めかして話していたそうです。

 

 

赤毛の歴史は、約50,000万年前にまで遡ります。Molecular clockと呼ばれる手法により、人類がアフリカから中央アジアに移動する間に、最初の赤毛が出現したと推定されています。崩壊した洞穴で発見された状態の良いネアンデルタール人一家の遺体から、この一家のうちの2人が、色白の肌と赤毛の遺伝子を持っていたことが明らかになっています。

 

日本では殆ど赤毛を見かけることがなかったため、外国のテレビや映画で見る鮮やかなオレンジ色やコッパー色の赤毛をただ単純に「綺麗だな」と羨ましく思っていました。ところが、英語圏の映画やドラマを見るにつけ、赤毛に対する「偏見」や、「ステレオタイプ」のようなものを感じるようになりました。

 

赤毛に関するステレオタイプの一つ。それは、悪女が赤毛の女として描かれることが多いということです。例えば、アダムの最初の妻であり、夫に従順であることを拒んでエデンを去ったリリスは、赤い髪の女性として描かれています。また、アメコミ映画X-Menで悪役として活躍するミスティークは、人間の姿の時は金髪なのに、ミュータントとして悪事を働く時は、赤毛となるのです。

 

私はX-Menシリーズを全部見ていたにもかかわらず、ミスティークの赤毛の意味について考えたことがありませんでした。確かに赤毛の女性からすると、悪の限りを尽くすミュータントに変身すると赤毛になるという設定は、何か偏見のようなものを感じてしまうかもしれません。

 

また、赤毛の女性は情熱的で、床上手という迷信もあるようで、自分がそのようなイメージを求めていないにもかかわらず、性的な目で見られてしまうという弊害もあるようです。確かにポルノのサイトには「Redhead」というジャンルもあるようですし、ドラマでも赤毛の女性好きを公言するキャラクターを目にすることもあります。

 

 

女性だけではなく、男性の赤毛に対する偏見も紹介されています。世界的に赤毛の人口は2%程度ですが、スコットランドでは13%、アイルランドでは10%赤毛の人がいるそうです。ジャガイモ飢饉でアメリカに移住したアイルランド移民の地位は低く、“アイルランド、赤毛、社会的地位が低い”という偏見は今でも残っているようです。アメリカの黒人が、「私の主人は私のことをまるでアイリッシュのように扱う」と苦情を述べた記録も残っているようで、当時アイルランド移民の地位がいかに低かったかが窺えます。

 

また、赤毛をCarrot(にんじん)と呼ぶのは失礼な事のようで、ある一定以上の社会的ステータスがあると、CarrotではなくAuburn hairと呼ばれる、というのも初めて知りました。

 

 

MC1R遺伝子は見た目だけではなく、髪の毛の状態や免疫などにも影響をもたらしています。赤毛と色素の薄い肌の利点は、ビタミンDを作りやすいということです。これは赤道直下から北へ移動する際、弱い太陽光でも十分皮膚からビタミンDを生成出来るという点で有利だったと思われます。

 

赤い髪は色味だけではなく、髪の毛の成分にも違いがあります。赤毛は他の髪色と比べるとイオウ成分が2倍あり、S-S結合が多いため、パーマがかかりにくいそうです。

 

赤毛の人は、メラノーマやパーキンソン病、子宮内膜症に罹患しやすいということが分かっています。また、赤毛の人は痛みに敏感なのだそうで、子供の頃の歯科治療にトラウマを抱えている人も多いようです。

 

赤毛は綺麗で羨ましいと単純な憧れがありましたが、その珍しさと目立ちやすさゆえに、その個人を特徴付けてしまうという弊害があるということを知りました。実際に自分が赤毛だったとしたら、そのせいで怒りっぽくてベッドでは情熱的に違いないと思われたら腹立たしく感じると思います。

 

赤毛に関する事はこの1冊で十分ではないかと思えるほど1冊丸ごと赤毛の情報が満載でした。今後、テレビやドラマで赤毛の悪女や粗野な赤毛アイリッシュを見かけたら、その根底にある意味について思いを巡らせるきっかけになりそうです。

 

YL:8(概算)

語数:60,000語(概算)

 


Red: A History of the Redhead

 

【今日の一枚】

トカゲちゃん

トカゲちゃんたち。

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