【オーディオブック】The First Fifteen Lives of Harry August  ハリー・オーガスト15回目の人生

The First Fifteen Lives of Harry August (2014) 邦題ハリー・オーガスト、15回目の人生

Written by: Claire North
Narrated by: Peter Kenny

時間:12時間10分

発音:イギリス英語

速度:150語/分前後

評価:5 out of 5

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【あらすじ】
ハリー・オーガストは特殊な能力を持っていた。どんな死に方をしても、次の瞬間には前世の記憶を持ったまま再び生まれ変わるのだ。何度生まれ変わっても同じところからスタートするが、生き方は自由に変えられるため、生まれ変わるたびにどんどん賢くなっていく。

 

ハリーが11回目の生を終えようとしている時、病床に女の子が現れた。未来において世界が終わろうとしているという。ハリーのように何度でも生まれ変わる能力のある”カリチャクラ”がある一定の割合で存在しており、次世代のカリチャクラが死にゆく老人のカリチャクラにメッセージを託すことで、どんどん過去にメッセージを伝えようとしているらしい。

 

カリチャクラの能力を利用し、未来を変えようとしているのは誰なのか。ハリーは志半ばで何度も死にながら、未来が変わる瞬間を突き止めようと試みる。

 

【感想】
面白かった!ファンタジー好きにはお勧め!15回にも渡るハリーの人生を追いながら、過去と未来の出来事を経験出来るお話。

 

1回目は初めて生まれたので普通の人と同じように生きるのですが、2回目、前世の記憶を持って生まれたハリーは混乱し、7歳で自殺してしまいます。3回目に生まれ変わった時は自分の不思議な能力を理解するために宗教に没頭し、4回目に生まれ変わった時は科学に傾倒します。確かに”自分の存在とは何か”を悩む人にとっては妥当な選択だろうと思います。

 

同じ生を何度も生きることが出来るカリチャクラには、”未来を変えない”という不文律のようなものがあるのです。例えばハリーは1919年に生まれ、2000年前後まで生きるのですが、次に生まれ変わった時に2000年の科学技術を1919年に持ち込まないように気をつけます。ところが、自らの好奇心を満たすために未来の技術をどんどん過去に持ち込む人物が現れ、未来が崩壊に向かってしまうのです。

 

この瞬間をやり直せるならば次はもっと上手くやるのに!と思ったことは数知れず。でも実際にそれが出来るとなると、より良く生きられるかどうかは分からないな・・と考えさせられた作品でした。2-3回のことであれば、特殊能力を利用して、お金持ちになりたい!楽に生きたい!という単純な欲望を満たして満足かもしれないけれど、何度でも生まれ変わって死ねない運命となると、何十回目には人生に絶望してしまうかもしれません。命は1回しかないからこそ、どう生きるかが大切だと感じた作品でした。

 

ハリーの十数回ある生命を行ったり来たりするので少し複雑だったものの、最後まで飽きませんでした。Goodreadsでは評価が1と5に分かれていたので好みが分かれる作品なのかも。何度も同じ人生をやり直す、というコンセプトは映画「About Time」と同じような感じですが、あちらはハートウォーミングなラブコメ。こちらはシリアスで、宿敵との対峙が結構グロいです。人生をやり直せたらどのように生きるか・・・というテーマが好きなので、お気に入りの作品になりました。

 

作者クレア・ノースはペンネームで、本名はCatherine Webb。Catherine Webb名義でヤングアダルト、クレア・ノースで大人向けのファンタジーと使い分けているようです。

 

YL: 8.5 (概算)

語数: 87,500語(概算)

 


The First Fifteen Lives of Harry August

 


ハリー・オーガスト、15回目の人生 (角川文庫)

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