多読10年間のまとめ③多読以外にしたこと、しなかったこと

多読10年間のまとめからの続きです。英語学習を始めてから最初の2年半ほどは多読以外にも色々と勉強をしました。使った教材などをまとめてみます。

 

文法

Basic Grammar in Use Student’s Book with Answers and CD-ROM: Self-study Reference and Practice for Students of North American English


English Grammar in Use with Answers and CD-ROM: A Self-Study Reference and Practice Book for Intermediate Learners of English

 

2006年〜2007年にかけて文法本を2冊。この2冊は見開き1ページの左側に文法事項の説明、右側に演習問題が掲載されています。日本の文法集と違うところは、文法用語を使った詳細な説明がないところです。あくまでも右ページの問題を解くのに最低限必要な知識のみに絞られています。英語で書かれているので、中学生レベルの英語が読める必要はありますが、日本語の文法用語が苦手な人には却って良いかもしれません。私も日本の文法書は1冊も読み通せませんでしたが、この2冊はやり通すことが出来ました。

 

ただし、かなりの根気が必要です。“一日4単元やれば3ヶ月で終わる”と軽く考えていたのですが、結局半年以上かかりました。初級と中級で内容が被っていますが、中学生レベルの英語も怪しければBasic Grammar in Useから、一応中学生レベルの文法事項は知っているつもり・・であれば、English Grammar in Useからでも良いのではないでしょうか。

 

説明も英語なので、難しい概念など分かるのだろうか、と心配だったのですが、易しい英語で書かれています。現在完了、過去完了などは長々と言葉で説明するのではなく、図解されていたのでスッキリ理解することが出来ました。品詞分解や5文型さえもありませんので、この本の対象者は、「他人に文法を教える必要はなく、基本的な文法問題を演習中心に学びたい人」「日本語の文法用語が苦手で文法書を読めない人」となるのではないかと思います。

 

精読

 

LingQシステムを使い、ネット上の記事で精読しました。私の場合、“精読”とは言っても、品詞分解や文型解析などはせず、分からない単語や言い回しを調べて単語帳を作成し、覚えるという程度です。

 

初期に利用したのは、Spotlight, VOA Learning English でした。どちらのサイトも学習者用向けに編集されたニュースが毎日配信されています。基本語彙1500語を用い、記事の読み上げスピードも、Spotlightが通常の半分、VOA Learning Englishは通常の約2/3程度です。スクリプトと音源が揃っているので、精読した後は、リスニング素材として使用しました。

 

また、時事問題や話題のトピックが易しい英文を用いて十分に表現されているため、シャドーイングをしつつ、自分の限られたスピーキング能力の中で幅広い話題を話す練習をするのにも役立ちました。

 

 

VOAの後に用いたのが、Interesting Thing of the Dayというサイト。こちらは個人が作成したサイトですが、音源とスクリプトが揃っているうえに、話題も豊富で朗読もプロ並みに上手です。トピックが多岐にわたるため、様々な分野の語彙に触れるのにも役立ちました。1つ5-10分程度で聞きやすいです。

 

 

英検1級受験を決心し、対策のために2008年夏から購入し始めたのがThe Economist。これは1級1次にも2次対策にも役立ちました。1級対策中の4-5ヶ月は通常の多読、多聴をお休みし、The Economistの精読と、Audibleでは時事問題を扱った、Pocket Issueシリーズを聞きました。

 

The Economistは毎週全て読み切ることは出来ませんでしたが、オンラインで過去のアーカイブも読めるので、気になる記事があれば過去の関連記事に遡って読むことで、理解を深めることが出来ました。

 

 

ライティング

 

英語学習を再開して半年後から、英文添削を受け始めました。とは言っても、最初のうちは一度に書ける英文は100ワード以内でした。私はLingQや個人の先生に頼むなどして、有料で添削してもらっています。Lang-8も試しましたが、全てを細かく直すのではなく、添削しやすい部分のみを直されることが多いと感じたので、お金を払って添削してもらうことにしました。

 

読んだり聞いたりして覚えた言い回しを書いて使ってみる→正しい言い回しに直してもらう、の繰り返しで、少しずつ複雑な事が書けるようになりました。One of the ○○の時は複数形・・・など10回くらい間違ってやっと覚えるという感じですが、試行錯誤しながら書いた文章は忘れにくいように感じます。

 

ライティングに関する本はたくさんありますが、日本語→英語に訳していくタイプの参考書よりも、パラグラフライティングについて書かれた本を読むほうが良いと思います。日本語で書いた文章をそのまま英訳しても、良い英文にはなりません。英文のルールや、パラグラフライティングの構成を理解しないと、文法的には正しくても、何が言いたいか分からない英文になってしまう恐れがあるからです。英文の書き方に関して日本語で書かれた本を何冊か読んだら、ネイティブの小中学生向けに書かれた本を読むと良いと思います。

 

実際に読んで分かりやすかった本を紹介します。

 

ネイティヴ並みの「英語の書き方」がわかる本

 

タイトルは怪しいですが、説得力のある論理的な文章を書くためのコツが書かれた本です。ネイティブと日本人のエッセイを比較しながら、日本風の作文のどこがダメなのかを具体的に指摘します。和文英訳にとどまらない、論理的な英文とはどんなものかを理解するのに役立ちました。

 

 

 

Time for Kids Ready, Set, Write! (Time for Kids Writer’s Handbook)
英語ネイティブ小学校低学年用に書かれた本です。トピックの集め方や、話題を絞るコツなど、英文ライティングの基礎の基礎について学べる良書でした。

 

Painless Writing (Barron’s Painless Series)
ネイティブ中学生向けあたり。Painlessというタイトルに偽りがあり、やり遂げるのは大変でしたが、ライティングルールについて一つ一つ細かに説明と演習があり、非常にためになる本でした。

 

The Elements of Style
100ページほどの薄い本で、シンプルで分かりやすい文章を書くための基本11項目が書かれています。コンマやダッシュ、コロンの使い方、間違いやすいアポストロフィの注意事項など、ライティングの際に気をつけたい内容がまとまっています。

 

 

発音

 

2007年〜2008年の1年間、English Journalで1日1時間シャドーイングをしました。1時間ほどのCDを最初に5回聴いて、それから本誌を読んで分からない部分を確認し、後は1日1時間シャドーイングという方法です。効果が出始めたかな?と感じるまで5ヶ月程度かかりました。実際に自分の口を動かして練習する前は、もっと上手く話せるはず!と根拠のない希望的観測のようなものがありましたが、ひと言会話のレベルを超え、インタビューで語られているような長い会話についていくのは大変でした。口や舌を動かして練習しないと思ったような音は出ないということを実感した1年でした。シャドーイングすることで、英語のイントネーションやリズムが身についたと思います。

 

Mastering the American Accent

オンラインでアメリカの先生について週1回、9ヶ月間やりました。この本では個々の母音の違いを学びます。日本人が苦手とされているLやRの発音だけではなく、duckのア、Woodのウも実は言えていないこと、Familyという簡単な単語でさえも、ミの部分が微妙に違うと指摘されました。直されたからといって全て完璧に発音出来るようになるわけではありませんが、i、p の発音など比較的直しやすかった部分が改善しただけでも効果があったと思います。

 

 

スピーキング

多読100万語を達成した後にオンライン英会話を週1-2回始めました。英会話は日頃インプットしたものを確かめてみる場、という位置づけです。週1-2回でも話さないと話しにくくなるものの、スラスラと書けないならばそれ以上に上手く話せることはないと気付いてからは、ライティングのほうに力を入れるようになりました。

 

 

ドラマ・映画視聴

海外ドラマや映画を字幕なしで見ています。ドラマが1400話ちょっと、映画は150本程度です。こちらも多読・多聴と同じようなやり方で、辞書は引かないことがほとんど。勉強のような事はせず、視聴しているものが9割程度、残り1割程度はドラマの“精読”をしています。これはドラマのスクリプトをダウンロードし、分からない意味や言い回しを調べ、新出単語を憶えるというやり方です。Supernaturalなどは若者言葉や早口でわかりにくかったものの、100エピソードほどスクリプトをチェックし、繰り返し見るというやり方でキャラクターの話し方に慣れて聞き取れるようになりました。字幕なしで9割方分かるようになればストレスなく楽しめると思います。

 

 

 

しなかったこと

 

時間は有限。多読や多聴にかなりの時間を割いた分、やらなかった事もあります。私の場合、それは「文法解釈」でした。Grammar in Useを2冊解いたので、文章の順番や最低限のルールは分かりますが、文法の解説は一切出来ません。品詞分解、文型解析も出来ません。読む時は、「主語と動詞とそれ以外」というくくりです。ただ、ちゃんと習ったことはありませんが、「スラッシュリーディング」のような方法で区切って意味を理解しているので、構文の名前は分からなくても文章の区切り方は身についていたようです。

 

限られた時間の中で、何を取捨選択するかというのは、自分の英語力にとって何が必要かを考えると自ずと決まってくるのではないかと思います。私の場合、英語の先生でもTOEIC講師でもないので、他人に問題を解説する必要はありません。Loveが状態動詞であり、状態動詞として他には何がある・・・といった文法知識自体が問われることもないので、こんな私でも多読開始後2年半ほどで英検1級とTOEIC900点は取れました。

 

 

文法が大好きで、文章を分解して完全に理解するのが好きであるならば、文法を中心に学習するのも良いと思います。ただ、私のように、日本語の文法本を読み通すことが出来ず、講師に懇切丁寧に解説されても全く頭に入ってこないどころか、そんなことを知ってどうするの?と思うのであれば、詳細な文法解説は読まずに演習問題を解き、多読や多聴で数多くの文章にあたり、用例を積み重ねていくという方法でも良いのではないかなと思います。

 

多読をお勧めしたい理由

「試験で○○点取ってから」「基礎的なことを習得してから」と、多読が後回しにされているのを見ると、基礎的な学習と同時並行することで相乗効果があるのに勿体ないなと感じます。単語集で覚えようとしている単語や、文法集で見かけた構文、ライティング本で知ったルールなどと実際に出会えるのが多読です。2-3ヶ月で「基礎を習得」するならば多読が後回しになっても良いと思いますが、その習得期間が2-3年以上にも及ぶのであれば、現在の学習内容に多読を取り入れる事を検討されてみては良いのではないかと思います。

 

 

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