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【オーディオブック】Adnan’s Story: The Search for Truth and Justice After Serial (2016)

Adnan’s Story (2016)

時間:14時間31分

発音:アメリカ英語。作者による朗読。早いです。

評価:4.5 out of 5

Adnan's Story

 

【あらすじ】

1999年、アメリカ・ボルチモアで女子高生の他殺死体が発見され、元恋人だった同級生のアドナンが逮捕された。彼は無実を主張したが、「アドナンが死体を埋めるのを手伝った」というドラッグ・ディーラーの男の供述と、携帯電話の電波から特定された当日の位置情報により犯人と断定され、終身刑の判決を受けた。アドナンは2016年現在も服役している。

 

アドナンとその支持者達はずっと彼の無実を訴え続けていたが、地方都市で起きた1件の殺人事件が世間に注目される事はなかった。事態が一転したのは、アドナンの親友の姉で後に弁護士になったラビアがメディアに訴えかけたことがきっかけだった。ラビアは当時ボルチモア地元紙の記者であり、後にThis American Lifeのプロデューサーとなっていた、Sarah Koenigにメールを書き、メディアで取り上げてもらうよう頼んだのだ。サラ達は数ヶ月にも及ぶ独自の調査を行い、ドキュメンタリーポッドキャストを作成、This American Lifeのスピンオフとして「Serial」を発表した。

 

2014年10月〜12月まで12話にわたり放送されたSerialは異例の成功をおさめ、アメリカ放送業界の最高栄誉とされるピーボディ賞を受賞した。これにより事件は世界的な注目を集め、事件に興味を持ったエキスパート達により新たな発見や矛盾点が発掘されることになる。

 

【感想】ネタバレあり

2014年秋に放送され、世界的な話題となったPodcast、Serialの詳細な裏話とその後。ポッドキャストは1億回ダウンロードされたほど人気だったようです。Podcastのほうはシーズン1−2までしか聞いていなかったのですが大丈夫でした。Adnan’s Storyで全てが詳細に語られています。それにしても面白かった・・・。他人の不幸を「面白い」と感じる事に後ろめたさを感じるものの、こんな不幸の積み重ねや理不尽さがあってよいのだろうか!?と、アドナンの身に起こった出来事を夢中になって読みました。

 

「アドナンが死体を埋めるのを手伝った」と供述したドラッグディーラーの男は、アドナンの親しい女友達のボーイフレンドで、アドナンは当日この男に車を貸していました。更にアドナンは携帯電話を車の中置いたまま学校へ行っていたのです。被害者のヘイが殺された時間は学校にいたとするアドナンと、「アドナンと死体を埋めた」と供述するジェイのどちらかが嘘をついていることになります。

 

ジェイ以外にも怪しい人物が2人います。1人は被害者ヘイの当時の彼氏。ヘイが殺され遺棄された時間帯に、店舗で働いていたというアリバイがあったためシロとされたのですが、ラビア達の後の調査により、彼はいつもとは違う店舗で働いており、勤務証明に使われたIDは彼のものではなかったこと、時間外に働いていたとされるが、通常支払われるはずの時間外手当が払われていなかった事などにより、アリバイの曖昧さが明らかになっています。

 

もう一人はヘイの遺体を発見した男。ヘイは人通りのない公園の、道路からは全く見えない木立の中に埋められていました。発見者の男はストリーキングなどの性犯罪で逮捕歴がある男なのですが、車で通勤中に尿意を催し、道端に車を止めて森の中に入り、偶然ヘイの遺体を発見したというのです。発見されたのは”偶然発見”出来るだろうかというほど込み入った人通りのない場所でした。

 

アドナンが犯人だ!と疑った警察は、これらの重要人物の捜査を十分に行わず、ジェイの証言のみでアドナンを逮捕します。その後は事実にそぐわない証拠を隠蔽し、ジェイの証言を時系列に合うように変えさせ、アドナンを犯人に仕立て上げていったのです。

 

アドナンの不幸はそれだけでは終わりません。当時彼を弁護したのは犯罪弁護で有名な女性弁護士。ところが彼女は糖尿病合併症や多発性硬化症を発症したばかりで、アドナンの弁護を出来るような状態ではありませんでした。彼女はなんと、アドナンを放課後に図書館で見かけたというアリバイ証人を法廷に呼んでいなかったのです。ヘイが殺された時間にアドナンが学校にいたという証言は強力なアリバイになるはずです。その証人を呼ばなかったという致命的な判断ミスをしただけではなく、彼女はアドナンの両親がパキスタンからの移民であり、アドナンがムスリムであった、という点を強調してしまうのです。

 

アドナンの両親はパキスタン人ですが、アドナンはアメリカ生まれの普通の高校生です。厳しいムスリムであった両親から隠れて大麻を吸い、ムスリムではない女の子とデートをしていました。それが、弁護士が彼をムスリムだと強調することによって、ムスリムの名誉のために韓国系アメリカ人の元彼女を殺したのではないかというステレオタイプ的な印象を持たせてしまいました。

 

Adan’s Storyを読んで、いったん犯人と決めつけられてしまうと、事実を捻じ曲げてまで犯人に仕立て上げられてしまう・・という恐ろしさを知りました。犯罪者として収監されてしまうと、いくら塀の中から無実を叫んでも、その叫びが届くことは非常に稀なのです。

 

冤罪が出来上がっていく過程や、アメリカの法システム、アメリカで移民2世として生きる高校生たちの苦悩など、興味深く読みました。作者はAdnanの支援者なので、絶対彼は無実である、というバイアスはかかっていると思います。アドナンは現在も服役中ですが、作者らの熱心な活動により、2016年6月に裁判のやり直しが決定したそうです。現在の判決がひっくり返されるかどうかは分かりませんが、全てがいい加減だった16年前の裁判をやり直す機会を与えられた事は大きな進歩だと思います。

 

 

Adnan’s Story: The Case That Inspired the Podcast Phenomenon Serial

YL: 8〜

語数:128,960語(readinglength.comより)

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