The House in the Cerulean Sea (2020) セルリアンブルー 海が見える家
- Narrated by: Daniel Henning
発音:アメリカ英語
時間:12時間12分
評価:4 out of 5
2020年Goodreads Fantasy部門候補本。Fantasy部門だけれども、冒険も魔法もなく、どちらかというと”Drama” 部門があったならばそちらにカテゴライズされそうな感じ。
主人公のライナス・ベイカーは省庁のMagical Youth部門でケースワーカーとして働く40歳、独身。一軒家に猫と暮らしており、愛読書は「Rules and Regulations」という900ページもある仕事関係の規則本という真面目な男。魔法に関する子供たちの孤児院を管理しているのだが、ある日“Extremely Upper Management” から極秘任務を打診される。Marsyas島にある孤児院に特に危険な児童たち6人が収容されており、ライナスはそこに潜入し、適正運営が為されているか監視するミッションとのこと。
ここからネタバレ。
「特に危険」とされる6人の子供たちとは、ガーデニングを愛するノームの女の子、森の精霊、ワイバーン、正体不明の緑の塊、ポメラニアンに変身してしまう少年、この世界を滅亡に導くとされるアンチクライストの6歳児(ただし今のところは口が達者なだけのクソガキ)。そしてハンサムだがどこかミステリアスな施設長のアーサー(45)である。
この世を滅ぼす恐れがあるほど危険でトップシークレットとして隔離されていた子供たちだが、実際は園長アーサーのもとでごく穏やかに暮らしていた。
そして実はアーサーも不死鳥の化身であり、子供時代に孤児院で虐待されていた過去が明かされる。
世間や魔法省庁などの権威は「他人と違うこと」を問題視し隔離しようとするけれど、他人と違っていても差別されず幸せに生きる権利は誰にでもある、ということを感じた作品だった。
この手の魔法生物が出てくるファンタジーだと子供たちが主役になることが多いのに、なぜ冴えない40歳独身男が主人公なのだろう・・と疑問に思いながら読んだら、ライナスとアーサーのほんのり恋愛ストーリーでもありました。
YL:7−8
語数:117,806 (概算)
2022年11月21日邦訳が発売されました。セルリアンブルー 海が見える家