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【オーディオブック】Where the Crawdads Sing (2018)

Where the Crawdads Sing (2018)

時間:12時間12分

発音: アメリカ英語 南部アクセント

評価: 3.5 out of 5

 

【あらすじ】

Kya(オーディオブックではカーヤと発音されていた)の母は夫からの家庭内暴力に耐えられず、末っ子のKyaが6歳のときに5人の子どもたちを置いて家を出た。暴力の対象が子どもたちに移ると、Kyaの兄姉たちも一人、また一人と家出し、とうとうKyaは父を二人になってしまう。

 

沼に囲まれた湿地帯にポツンと立つあばら家に無職の父親と住み、学校にも行かずボロボロの服、裸足でうろつくKyaを街の人々はMarsh Girlと呼び差別した。

 

そしてKyaの父も彼女が10歳の時に失踪し、Kyaは沼地で一人きりになってしまう。大人たちに見つかり保護される事を恐れたKyaは、これまで通り父が家にいるフリをし、沼で貝や魚を獲りながら一人で生活していく道を選んだ。

 

そしてKyaが22歳の時、町の有力者の息子、Chase Andrewsの遺体が沼地で発見された。地元民たちがまず疑ったのは”Marsh Girl” Kyaであった。

 

【感想】

The New York Timesベストセラーに20週ランクインしており、レビューも高評価だったので選んだ本。ミステリー、女の子の成長譚、ロマンス、法廷モノのミックスといった感じ。

 

1950年台から1960年代、アメリカ南部のバージニア州やノースカロライナ州では、沼地で平均以下の生活を送る低所得者層たちをWhite Trashと呼び差別していた。劣悪な環境で家族が崩壊し、沼地で一人生活していく少女の孤独、自然の厳しさと美しさが胸をうつ作品だった。

 

ここからはネタバレ Spoiler!

軒並み高レビューなのだけれども自分の評価が星3.5なのは、ロマンス部分が苦手だったのと、兄の幼馴染に読み書きを教えてもらい本で独学しただけなのにアインシュタインを読み、沼地の生態についての本を出版するようにまでなる、というのがご都合主義すぎると思ってしまったから。

 

Chase Andrewsを殺した真犯人についての経緯は面白かった。ハンサムなChaseに遊ばれてしまった過去があり、アウトサイダーであるKyaが真っ先に疑われてしまうのは偏見だ!と読者の同情を誘いつつ、状況証拠だけで有罪となりそうな法廷シーンでドキドキハラハラさせる。そして無罪が確定してホッとし、Kyaのその後を読み進めたところで犯人はやっぱり・・・という流れ。白人、ハンサムでスポーツマン、お金持ちの息子というChaseの人物設定がステレオタイプすぎやしないか?とは思うものの、こいつなら殺されても仕方ないか・・と主人公に同情した。男性読者が読んだらどう感じるのだろう?

YL: 7.5

語数:103,641語 Word Countersより

 

 

Where the Crawdads Sing

【オーディオブック】Her Every Fear (2017)

Her Every Fear (2017)

時間:10時間51分

発音:イギリス英語/ アメリカ英語

評価: 3.5 out of 5

 

【あらすじ】

イギリスに住むケイトは過去、恋人に殺されかけたトラウマからパニック障害を患っていた。そこへアメリカに住む又従兄弟のコービンからアパートメントスワップを持ちかけられる。新天地でやり直す良い機会だと思い半年間の予定でアメリカにやってきたケイトだったが、到着早々、アパート隣室で女性の他殺死体が発見される。

 

【感想】

そしてミランダを殺す」で評判の良かったピーター・スワンソン。本当はその原作、The Kind Worth Killingを聞きたかったのだけれども、Audibleでは手に入らなかったので、その次作であるこちらを選んでみた。評価は3.5/5 。面白くなりそうな部分はあるのに、そこに至るまでが冗長で結論もそれで終わる!?というやや残念な感じだった。

 

そもそも今まで会ったことのない親戚の男性と、アメリカとイギリスで住居を交換するなんて事があるだろうか。しかも絶対知られてはならない重大な秘密があるというのに。絶対家中くまなく覗かれると思うんだけど。

 

作中で、自分の長期留守中に隣人に鍵を預けて家の様子を見てもらうという部分があって、アメリカ在住の知人もこれをやっていたのを思い出した。植物の水やりやペットの世話をしてもらうらしい。それだけではなく、旅行から帰ってくる日にはテーブルに花を飾ったり、すぐに食事出来るようキャセロールを置いたりすることもあるのだとか。日本ではこれをやっているのは聞いたことがないので興味深く話を聞いた。隠すことなど何もないのか、何を見られても平気な大らかさからくるのか・・・。

 

ここからは少しネタバレ。spoiler alert!

面白かった部分は、真犯人がケイトのアパートに潜んで生活を共にしていたところ。アメリカの地下つき住居でいくつもベッドルームがある部屋ならば知らないうちに他人が侵入していたというのはありうるかも。犯人の変態心理を読み進めるにつれ気持ち悪さでドキドキしてしまった。前半部分の当たり障りのないミステリーが退屈だったので、後半部分の覗き、ストーカー、シリアルキラーを突き詰めればもっと面白かったのに!

 

YL: 7 (概算)

語数: 96,000語(概算)

 


Her Every Fear: A Novel

【オーディオブック】The Passage (2010)

The Passage (2010)

時間:36時間52分

発音:アメリカ英語

評価: 4.5 out of 5

 

The Passage

 

【あらすじ】

ハーバード大学の教授が南米で未知のウイルスを発見、分離することに成功した。そのウイルスは人類を死から救う治療法となるはずだった。

軍は「ノアプロジェクト」を立ち上げ、12人の死刑囚にウイルスを感染させ、彼らを究極の戦士とするべく実験を重ねていた。

軍の命令を受け12人の死刑囚を被検者として極秘に集めていたFBI捜査官Wolgastは、13人目の被験者が幼い少女であることを知り、命をかけて彼女を逃がす決断をする。

 

【感想】

さとみさんにオススメされて読み始めた本。36時間52分あるのにまだ3部作の1作目!読み応えがあった。

 

いわゆる”感染アポカリプス”もので、軍の施設で秘密裏に行われていた実験ウイルスがばら撒かれてしまい、世界が崩壊するお話。全く気付かなかったのだけれど、2010年の発売当時は大体的に広告が打たれ、スティーブン・キング氏も大絶賛だったとのこと。キング先生は割といつも大絶賛している気がするものの、確かにページ・ターナーだった。コロラドにある軍の施設からバンバイアウイルスが漏れて・・という設定や、アメリカ各地を旅するストーリーラインはキング先生のThe Standを彷彿とさせる感じ。

 

The Passageが面白かったには、各所にばら撒かれた伏線が見事に回収された場面。とにかく話が長くて、「なんでこんなエピソードを長々と・・」とウンザリしてしまうこともあったんだけど、確かにそのエピソードがあって最後が活きてくるんですよね。

 

3部作のなかではこの一作目が一番面白かった。3部作合わせると約90時間なので根気がいりますが、とにかく登場人物が多いので、手を出すなら一気読みが良いかも。

 

YL:8

語数:239,425語(概算)

 


Passage

【オーディオブック】Educated (2018)

Educated (2018)

時間:12時間10分

発音:アメリカ英語 落ち着いた女性ナレーターの声で聞きやすい

評価: 5 out of 5

 

Educated

 

【あらすじ】

作者は所謂”Survivalists”と呼ばれる、モルモン教徒の家庭で育った1986年生まれの女性。Taraの両親は政府を全く信用せず、2000年に世界が滅びると信じており、世紀末に備え完全自給自足の生活を送っていた。子どもたちの出生届も出しておらず、生まれた証明もないので学校にも行かず、大病をしても病院にも行かせない。アイダホ州の山間部に暮らす一家の父は解体業を営んでおり、母はハーブやホメオパシーの薬草・オイルなどを販売していた。またタラの母は無資格で助産師として活動しており、医療費を支払えない近所の女性たちのお産を請け負っていた。

 

Taraはホームスクールで教育を受けていることになっていたが、実際は読み書きレベルのレッスンを母から受けただけで、あとは家業の手伝いをしていた。7人兄弟の末っ子であるTaraは学校に行かずとも早くに結婚し、母の跡をついで無資格の助産師として家族を助けることを期待されていた。

 

ところが、大学に行きたいと家を出ていった兄の一人に影響され、16歳で大学試験を受けることを決意する。本当はまず高校を卒業しなければならないのだが、Homeschoolで十分な教育を受けたと偽り、独学で数学を学び大学に合格する。

 

大学に入学することはできたものの、本は聖書とモルモン教の経典くらいしか読んだことがないTaraには一般常識が欠落しており、ホロコーストも聞いたことのないレベルだった。高校卒業レベルの知識はおろか、トイレの後は手を洗う、毎日シャワーを浴びる、共用の場所は片付けるなどの一般常識さえ持ち合わせていなかったTaraはすべてを一から学ぶ必要があった。彼女が学問に目覚め、ケンブリッジ大学で博士号を取得するまでを綴った回想録。

 

【感想】

衝撃的な本だった! 引き込まれた理由は2点。「女に学問はいらない。女の場所は台所だ」と可能性を摘まれ、支配的な親や夫に虐げられていたTaraや周囲の女性の運命は、女性として自分の身にも起こり得ることだと思えて心底怖くなったこと。もう一つは教育を通じて可能性の扉が開いていく過程にワクワクしたこと。

 

Taraの家では父親の権威は絶対で、「女の居場所は家、学問を受けるなど神の意志に反する」とされていた。父は敬虔な信徒である自分は正しく、神に見守られていると信じているため、すべてが「神の意志」で片付けられてしまうのだ。このため、解体業中の事故で息子がガソリンタンクの引火で火だるまになり重症やけどを負っても、交通事故にあい、妻や息子が頭部外傷をおっても病院には行かず、すべて自分たちの力でなんとかしようとするのだ。

 

Taraが大学進学したいと希望した際、父や兄が全力で妨害するくだりを読んで、女子どもを無知のまま家庭に閉じ込めることで思うように支配しようする姿に気分が悪くなった。

 

父や兄に悪意はなかったのかもしれない。彼らは自分たちなりの「正しさ」の中に生きており、女たちをつつましく従順に指導しているつもりだったのだろう。

 

この本を読みながら、無知と宗教の最悪な組み合わせに嫌悪感が募った。自分たちに都合の悪いことをすべて「神の意志」で片付け思考停止している。親の教えが必ずしも正しいことではないと気づくには教育が大事だと思うものの、その教育さえ受けられないとすると、親の支配から抜け出すのは容易ではないだろう。

 

Taraの家庭ほど状況は悪くなくても、女性が学問を修めて知恵がつくと扱いづらいとする空気は自分の身の回りにもある。そのような空気に流されて家に閉じ込められてしまうと、状況は更に悪くなってしまう。女性が自立することの重要さについて考えさせられた本だった。

 

YL:7

語数:105,705語(概算)


Educated: A Memoir

【オーディオブック】The Underground Railroad / 地下鉄道

The Underground Railroad (2016) / 地下鉄道

 

* Written by: Colson Whitehead
* Narrated by: Bahni Turpin

 

時間:10時間43分
発音:アメリカ英語
評価:4 out of 5

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【あらすじ】
コーラはジョージア州の綿花農園で奴隷として生まれた。母が幼い頃にコーラを置いて逃走したことで、農園での生活はことさら悲惨だった。

 

ある時バージニア州からコーラ達の働く農園に移ってきたシーザーがコーラに地下鉄道の存在を打ち明け、2人は脱走を決意する。ところが途中追跡者に捕まってしまい、コーラは必死の抵抗の末、白人の少年を殺害してしまう。2人は何とか地下鉄道の駅舎にたどり着き北へと向かった。

 

サウスカロライナ州に辿り着き、偽名で暮らし始めた2人の生活は一見安全に思えたが、単なる脱走者としてではなく、殺人者として懸賞金の対象となってしまったシーザーとコーラに更なる危険が迫っていた。

 

【感想】
ピュリッツァー賞、全米図書賞に加え、アーサー・C・クラーク賞に選ばれた作品。小説では地下に鉄道があったという設定となっていますが、実際には地下に鉄道が走っていたわけではなく、支援者たちが各地に点在し、逃走奴隷を匿いながら北へ北へと逃走する経路がUnderground Railroadと呼ばれていたようです。

 

“All men are created equal, unless we decide you are not a man“
全ての人は生まれながらにして平等であると謳いながら黒人奴隷を”人“として認めないというのは何という欺瞞でしょう!綿花を大量に安く生産したいが自分たちの手だけでは追いつかないし、高い賃金は払えない。だから奴隷を使うのは仕方がない、と自分たちにだけ都合の良い考え方をし、奴隷制度を必要悪として考えていた家庭も多かったようです。

 

悲しく心に響く作品でしたが、説明的な文章が多く、時制が行ったり来たりするので少し読みにくかったです。早川書房から訳書「地下鉄道」が出版されています。

YL:7.5
語数:94,250語(概算)

 

The Underground Railroad


地下鉄道

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