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メディカルミステリー
【オーディオブック】Trauma: A Novel
- 2015/05/31 10:09 PM
- Mystery/Thriller
Trauma: A Novel (2015)
- Narrated by:
時間:10時間57分
発音:アメリカ英語
速度:150語/分前後。
評価:4 out of 5
【あらすじ】
4年目の脳神経外科研修医キャリーは、医療ミスの責任を取り、勤めていた研修病院を辞職した。医師を辞めようとまで思いつめていたキャリーだったが、同じく医師である父の勧めもあり、パーキンソン症候群患者の深部脳刺激療法(DBS)を行っているVAホスピタルで働き始める。そこでは、DBSをアフガニスタンやイラク派兵で心に深い傷を負ったPTSD患者に適用拡大し、成果をおさめ始めていた。
PTSD患者の脳に電極を埋め込む手術を担当したキャリーは、術後、2名の患者が立て続けに失踪したことに気づく。不審に思い、独自に調査を始めたキャリーだったが、次第にキャリーの周囲で次々と事件が起こり始める。
【感想】
医師兼作家のマイケル・パーマーと作家である息子さんの合作。完成前に著者が亡くなったために息子ダニエル・パーマーが仕上げた作品らしいです。
ここからはネタバレ感想。
表からは見えない心の傷を負った帰還兵たちのケアがテーマ。深部脳刺激療法を行うことで、記憶と負の感情を切り離すというもの。キャリーが手術を行った患者が二人とも失踪するのですが、キャリーの同僚である神経外科医たちが怪しすぎるのですよ。術後はレジデントたちが患者の面倒を見るべきであり、術者は患者の診察も許されないというのは極端なのでではないでしょうか・・。何か隠しているのがバレバレ。
犯人はこの人だろうな、という予測はつくものの、キャリーの命が狙われる場面や、ダニエルが病院に忍び込む場面などはスリルがありました。ただ、一番怪しかったあの人が金と名誉のためにやった!というのではなく、政府が絡んだ陰謀だった!としたほうが面白かったのではないかと思いました。戦場での記憶と恐怖の感情を切り離すことが出来れば、恐れ知らずの兵士が出来ると思うんですよね。PTSDのため、イラクやアフガニスタンから帰国しても社会復帰出来ず、自殺率も高い元兵士たちの脳を改造し、負の感情のない殺戮マシーンを作り上げる・・・。と途中から勝手にプロットを変更して妄想しました。
でも一番ドキドキしたのは、キャリーの辞職原因となった前の病院での出来事です。初めて一人で担当するオペが夜に始まり相談する人もいないという状況がありえるのでしょうか。そして4年目のレジデントが1人で脳腫瘍手術を担当するというスリル・・・。血管に富む腫瘍を切除したことで稀な合併症であるDICが起こり、腫瘍を切り取った組織から血が止まらないうえに、体中の血管で微小血栓が出来る・・という状況は、読んでいるほうも冷や汗をかきそうでした。
さらには、朝まで対応して疲れきっているところに、時間に厳しいことで有名な上の先生のオペの助手に入り、頭部CTを裏返しに表示してしまっていたがために左右間違えて健側の脳を摘出してしまうというミス・・。本作品はメディカル・ミステリーですが、冒頭の医療ミスシーンは医療者にとってホラーストーリーなのではないかと思いました。
YL:8 (概算)
語数:95,000語(概算)
【今日の一枚】
フロリダの景色
【オーディオブック】Harvest
- 2015/05/15 10:42 PM
- Mystery/Thriller
- Narrated by:
時間:12時間30分
発音:アメリカ英語
速度:130語/分前後。医療用語が多いものの、ゆっくりで聞きやすい。
評価:5 out of 5
【あらすじ】
2年目の外科研修医であるアビーは、当直の夜に34歳の交通事故患者を担当する。2児の母である被害者は脳死と判定され、彼女の心臓は同病院で1年以上心臓移植手術待機をしていた17歳の少年に移植される事になった。ところが、46歳の富豪患者が突然割り込んだ事で、少年が移植手術によって助かる道は閉ざされてしまう。
貧富の差に関係なく平等であるべき移植待機リストに金持ちの患者が割り込んできた事に疑問を感じた研修医2名は、少年を他の病院に移送し、脳死患者の心臓を彼に移植する手配をする。
移植待機リストのシステムに疑問を感じ、ドナーの情報を調べていくうちに闇の移植ルートの存在を疑い始めたリビーは、次々と不可解な事件に巻き込まれていく。
【感想】
1996年に発表された、テス・ジェリッツェンのメディカル・サスペンス。移植チームの内情が丁寧に描かれていて面白かったです!
本作品のテーマは「移植手術」。アメリカ国内では脳死患者からの移植手術が盛んに行われているとはいえ、全ての待機患者に臓器が行き渡るわけではありません。移植を希望する人々全てに救いがあってほしいと思う反面、心臓移植手術を望むということは、誰かの死を願うということでもあります。1日も早く心臓移植手術を!と待ち望む家族の気持ちも分かるものの、心臓移植を「治療の選択肢の1つ」と考えるのはあまりにも利己的なのではないかと考えさせられました。
作者のテス・ジェリッツェンさんは、スタンフォード大学卒業後、カリフォルニア大学サンフランシスコ校で医師免許を取得されています。産休中にロマンス・スリラー小説を書き始め、8冊出版した後にメディカル・サスペンス小説を書くようになったそうです。産休中に作家に転向するというパワフルな経歴に圧倒されました。
実際に医療現場にいらっしゃったということで、救急外来やアテンディングドクターによる回診の場面など臨場感がありました。一生懸命手を尽くしても不幸な転機をたどってしまった患者の家族に恨まれてしまったり、突然現れた変わり者の患者の親戚に悩まされたりと、これはきっと作者が医師として経験したことなのではないかと思いました。
かなり最初のほうで全体像が分かってしまうのですが、それでもヒロインに感情移入してドキドキしました。病院で起こりうる不幸の全てがヒロインに襲いかかっているんじゃないかというくらいのドラマチックぶり。医療用語満載ですが、ストーリー展開が早く、サクサク読めるのでメディカル翻訳などに興味がある方は楽しく読めるのではないかと。
この作品がかなり面白かったので、今後、メディカル・ミステリー分野も開拓していきたいです。
YL:7.5(概算)
【今日の一枚】
広場で見かけたヨーダのオブジェ。
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