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【オーディオブック】Elon Musk: Tesla, SpaceX, and the Quest for a Fantastic Future

Elon Musk: Tesla, SpaceX, and the Quest for a Fantastic Future(2015)

時間:13時間23分

発音:アメリカ英語、イーロン氏の部分は南アフリカ訛り?

速度:160語/分前後。落ち着いた男性の声で発音明瞭なので聞き取りやすい。

評価:5 out of 5

Screen Shot 2015-05-26 at 7.18.23 PM
 
 
テスラ・モーターズ、スペースXのCEOであり、PayPalの前身であるX.com社を設立した起業家、イーロン・マスク氏の人物像について、著者のアシュリー・バンス氏が本人へのインタビューと、関係者への取材をもとにまとめた本。
 
 
傑出した人物を描いたノン・フィクション本は時にエピック・ファンタジー本よりも面白いことがあると思うのですが、まさにこの本がそう。1971年、南アフリカ生まれで、米国で起業家として成功しているイーロン・マスク氏の生い立ちや立身出世物語を、現在進行形で知ることが出来るという点が実に興味深い。
 
 
テスラは1台800 万円〜1200 万円という超高級電気自動車を販売する会社。さらに、スペース X は、「火星に人類を送る」というミッションを掲げ、2012年には民間会社で初めてとなる、国際宇宙ステーションへのドッキングにも成功しています。しかも、ほとんどのパーツを安い素材で自社開発し、従来のロケットよりもかなり安い値段での打ち上げを実現させました。どちらも自分には関わりのない世界ですが、多くの批評家達が実現不可能と予言したプロジェクトを達成する過程には、他人ごとながらもワクワクしました。
 
 
イーロン氏は、大学卒業後の 1995 年、弟とともにレストランやショップの情報と地図情報を統合させたオンラインビジネスを立ち上げ、のちにこの会社を売却したことで 3 億ドル以上の現金を手にします。この資金を元手として、のちにComfinity社との合併でPaypalとなるX.com 社を創設。そこでの権力争いによりCEOの座を追われた後、Paypal社売却により得た資金をつぎ込んで、テスラ・モーターズとスペース X を立ち上げたのです。どちらも実現不可能と言われ、投資した財産を回収できなくなる可能性もあるリスクが大きすぎる起業でした。
 
 
マスク氏のリスクを恐れない性質は、彼の祖父母から由来しているように思えます。マスク氏のカナダ出身の祖父母は、カナダ政府の規制に不満を抱き、幼い子供達を連れて南アフリカへと移住します。カナダでは、自家用飛行機を操縦し、遠出を楽しんでいたようなのですが、移住の際にこの飛行機を解体し、箱詰めして南アフリカに持ち込みます。一家は移住先で組み立てたこの飛行機で、国内や遠くはオーストラリアまで旅に出かけたのでした。
 
 
自家用飛行機とはいっても、1950−60年代の飛行機はラジオはおろか、まともな計器類さえ無い時代。航空地図もなく、普通の道路地図を用いて飛行していたようです。さらに、飛行が長距離に及ぶため、飛行免許を持っていないマスク氏のお祖母さんも、旦那さんと交代で操縦していたようです。お祖母さんの話によると、何回も死にかけたのだとか。実際にイーロン氏のお爺さんは、飛行機事故により首の骨を折って亡くなっています。まさに命がけの冒険。それに比べると、全財産を賭けて起業するリスクは“命を取られるわけではない”と、許容範囲だと思えてしまいそうです。
 
 
マスク氏の子供時代のエピソードもユニークです。子供時代の彼は大変な読書家で、1日10時間本を読むことも稀ではなかったそうです。小学校3−4年生の時に学校の図書館の本を読み尽くしてしまった後は、ブリタニカ百科事典を読み始め、フォト記憶があるために多くの事実を記憶していたそうです。

 

また、10歳でコンピューターを与えられ、12歳の時には雑誌にソフトウェアのコードを発表しています。学校ではいじめられていたようですが、子供時代のエピソードから、すでに並外れた能力と集中力の高さが伺えます。

 

17歳でひとりカナダに移住してからも、自分の人生を自分で切り拓く様子が凄いです。新聞を読んで面白そうな事をしている大人をピックアップし、直接電話をかけて面会アポをとるなど、行動力が素晴らしいのです。実際、銀行役員と面会したことで、大学時代に銀行でのインターンのチャンスも手に入れています。

 

カナダからアメリカの大学に編入後も、友達と大きなフラットハウスを借り、週末に入場料5ドルで500人規模のパーティをすることで生活費をまかなっていたようです。

 

 

マスク氏の専攻は物理で、最初の起業と次のペイパルはプログラミングの経験を活かしたものなのですが、電気自動車とロケットに関しては素人です。それでも自力で勉強し、エンジニア達とディスカッションすることで、数年後にはその分野のエキスパートになっていたそうです。

 

シリコンバレーのスタートアップCEOというと、華やかで金回りの良いセレブを思い浮かべますが、全てのスタートアップが成功するわけではありません。現在は人通りの多い地域にお洒落な店舗を持つテスラ・モーターズも、何度か倒産の危機に陥っています。また、何百万ドルもの私財をつぎ込んだスペースXも、最初の3回の打ち上げが失敗に終わり、全てを失う可能性に直面しました。

 

マスク氏が他の投資家と違うところは、長期ビジョンを持っているところです。見込みのありそうなスタートアップに投資し、短期で儲けを出そうとする人々は、テスラを既存の自動車業界大会社に買収してもらおうとします。何年かかっても革新的な電気自動車を開発出来なかった旧体制の大会社に組み込まれてしまっては、“自動車の未来を変える”という長期ビジョンを達成することは出来ません。彼は、テスラ・モーターズが長らく利益を出せなかった時も、ロケット打ち上げが成功せず、資金が底をついた時も、最後まで諦めずに最善を尽くしたことで、結果的に両社を救うことが出来たのでした。

 

この本を読むと、マスク氏の並々ならぬ情熱が伝染します。誰もが達成不可能と言ったプロジェクトを成功させるには、その仕事に没頭すること、目標に対して厳しい達成期限を設けることが大事だと感じました。テスラやスペースXでの仕事は、何百人ものエキスパートたちが不眠不休で成し得た仕事であり、マスク氏だけの成果ではありません。ただ、マスク氏がいなければ、「火星に人を送るためにロケットを開発する」というSFのプロットのような話が動き出し、数々の困難を乗り越えて成功をおさめることは無かっただろうと思います。荒唐無稽と思えるようなことでも、この人なら出来るかもしれない・・・と思えた本でした。

 

スケールの大きな話で、物語のように楽しめます。成功のエッセンスを箇条書きにしたようなお手軽自己啓発書などより、彼の生き方から何を感じるか、というのが大事だと思いました。

 

YL:8(概算)

語数:120,000語(概算)


Elon Musk: Tesla, SpaceX, and the Quest for a Fantastic Future
ブルームバーグビジネスが作成したイーロン・マスク氏のビデオも興味深いです。How I became the real “Iron Man”、どうやってホンモノのアイロンマンになったか、というタイトルがついていますが、実際に映画でアイロンマンを演じたロバート・ダウニーJrは、マスク氏と会い、役作りのヒントを得たというエピソードが本に載っていました。また、映画でトニー・スタークの自宅作業場にはテスラの車がディスプレイされていたそうです。アイロンマンの映画を見たけど気付かなかった!

Elon Musk: How I Became The Real ‘Iron Man’

 

2015年5月1日、日本の安部首相がテスラを訪問し、イーロン・マスク氏が運転するテスラモデルSに試乗したようです。安部首相の反応がアッサリなのが残念〜。

【多読】Alan Turing: The Enigma: The Book That Inspired the Film The Imitation Game

Alan Turing: The Enigma: The Book That Inspired the Film The Imitation Game

【あらすじ】

第2次世界大戦時、ドイツ軍の暗号機エニグマの暗号解読に成功し、連合国軍に勝機をもたらしたイギリスの数学者アラン・チューリングの伝記。

 

【感想】映画の感想はコチラ

難しかった。息も絶え絶えになりながら読んだ、というか力及ばず途中で息絶えてしまうかと思った…。

 

映画のThe Imitation Gameを観て、エニグマの解読方法を詳しく知りたいと思って原書を読んだのだが、私の理解を越えていて謎は謎のまま。理解出来たのは、シーザーの時代に用いられていた、A→D、B→Eとアルファベットをずらしていく方法まで。ローターを組み合わせて矛盾を検出して・・というあたりは詳しく説明されているものの、さっぱり分からなかった。

 

この本を読んだことで、映画の脚本がどれほど優れていたかが分かった。映画では、エニグマ解読とアランの少年時代にきっちりフォーカスが当てられている。本ではアランの論文の説明や、当時の学説、コンピューターの概念などが詳細に書かれており、話が広がりすぎて非常に読みにくかった。その反面、映画では殆ど触れられなかったエニグマ解読以降のコンピュータープログラミングに携わった話なども知ることが出来たのは良かった。

 

映画ではベネディクト・カンバーバッチ演じるアランの奇人変人ぶりが目立ったが、本人も本当にあんな感じだったらしい。花粉症対策のためにガスマスク装着で通勤していたというエピソードも本当。学者仲間や本当に親しい人に対してはちゃんとしていたものの、学者としての能力はないがマネージメント能力に優れている上司を小馬鹿にしたり、知っている人とすれ違っても挨拶をはぶいたり。。。

 

映画のほうはかなりドラマタイズされていたようで、かつての婚約者ジョアン・クラークも本ではいつの間にか登場しており、映画のような演出は皆無。仲間たちとの軋轢も映画ほどではなかったのでは?と思った。これほど淡々と事実が書かれているだけの本から、あれだけのドラマを創りあげたのは素晴らしい。

 

アランの死についても謎が残った。映画ではアランの自殺の原因は同性愛の罪で逮捕され、化学的去勢を受けたため、という描き方だったが、それが原因なのかは本を読んでも判断出来なかった。逮捕されたのは自殺の2年前だし、ホルモン療法が終了したのも1年前。アラン自身はオープンなゲイで、周囲にもゲイである事を隠すことなく、魅力的な男性がいれば積極的にアプローチしていた模様。それでも兄と母へのカミングアウトは逮捕後だった。母はアランを責めることなく受け入れたようだし、同性愛者であることを恥じ入っていた様子も感じられない。自殺の前日まで全く普通に仕事をしており、来週以降の予定なども入れていたらしい。青酸カリりんごを齧って自殺したとされているが、りんご自体は調べられなかったようだ。自殺とされた現場にメモもなかったし、親しい人へのメッセージや自殺の素振りなども全くなかったものの、死ぬ前に遺産分割についての遺書は更新していたらしい。母が言うように冶金のために用いたシアン化カリウムがついた手でうっかり食べ物を触ったための事故なのか、軍の機密を知りすぎていたための他殺なのか・・・。

 

最後まで”事故”説を信じていたアランの母親は、1976年に93歳で亡くなるまでアランの戦時中の功績とコンピューター開発の詳細については機密につき、知らされていなかったようだ。ただ、息子が何か偉業を成し遂げたという事は感じていたらしく、”将来伝記を書く人のために”と、アランの学生時代からの書簡などを取っておいたらしい。そしてアランの死後、母親自身がアランの伝記を書いたとのこと。学生レポートのような出来だったらしいが、何も知らされないまま息子を信じた母の気持ちを思うと悲しかった。1976年にBBCで戦時中のエニグマ暗号解読に関するドキュメンタリーが製作され、この本の筆者がアランについての調査を始めたのがその年以降らしいので、後もう少し長生きしていれば、息子の功績を知ることが出来たのに・・と残念。

 

肝心な暗号解読、コンピューターの仕組みについてはよく理解できなかったものの、映画を観て疑問に思ったことが解決したので読んで良かったと思う。映画より先にこの本を読んでいたら確実に挫折していたはず…。

 

YL:9以上

語数:140,000語(概算)75%以降は訳注でした。

 

Alan Turing: The Enigma: The Book That Inspired the Film The Imitation Game

 

エニグマ アラン・チューリング伝 上

【映画】Big Eyes (2014) /ビッグ・アイズ

Spoiler Alert!

 

Big Eyes is based on the true story of an American artist, Margaret Keane and her husband, Walter Keane.

 

Margaret’s large-eyed, waif child paintings were popular in the 1950s and 1960s, however, it was her husband who took credit for the paintings.

 

Margaret divorced her first husband in the 1950s and moved to San Francisco with her daughter. It was a difficult time for a divorced mother to support a family, and when her ex-husband threatened to take custody of their daughter, her recently-met boyfriend, Walter Keane, offered to marry her.

 

Although she kept painting her large-eyed children for a long time, nobody seemed to notice her talent. One day, Walter came up with an idea, and he hung her paintings at a local bar. When people started to notice Margaret’s paintings, he lied that they were his, in spite of having his own career as a realtor.

 

It started as a small lie, but he seemed to enjoy the fame. He said to his wife that nobody wanted to buy the woman’s paintings, and she naively believed him, convincing herself that she should keep the secret for her family.

 

Walter was an amateur painter, but he knew how to sell. Soon, he opened his own gallery in San Francisco, and people swarmed to buy posters and postcards of the large-eyed children. They bought a stately house in Woodside (it was where I once lived!), and enjoyed their success. Walter often appeared on TV shows and talked about his “artistry” in public. He was so good at talking that he almost seemed like a con man. Of course, that was exactly what he was, but nobody knew the truth except Margaret at that time.

 

As for Margaret, she suffered from the consequences. Even though she poured herself into the paintings, she couldn’t reveal the true nature of the paintings. She even had to lie about it to her daughter, who was the inspiration of the paintings.

 

When Margaret had had enough of her husband, he threatened that nobody would believe her. She left her husband with her daughter, and moved to Hawaii to start a new life. She kept sending him her new paintings as she had promised, but it was the Jehovah’s Witnesses that changed her mind. She decided to announce the truth to the public via a radio program.

 

Following Walter’s denial, she decided to take the matter to court. When the judge ordered them to paint in front of the jurors, Walter excused himself from painting, saying that he had a sore shoulder. Margaret successfully painted the large-eyed girl, and won the case.

 

Walter kept denying the truth, and died penniless in his old age. Margaret has continued painting the iconic large-eyed children into her late 80s, enjoying her life with her third husband in north California now.

 

A peculiar fate brought them together. They were a perfect couple in a way—a talented wife, but with low self-esteem, and a mythomaniac husband with great selling skills. They complimented each other in a certain sense, however odd it was. Walter was a squalid guy, but his morbid interest in fame seemed to be augmented by Margaret’s talent. At the same time, if not for Walter, her paintings would have remained anonymous.

 

What matters the most is that Margaret is happy now. I felt sorry for Walter nonetheless. He could have had a less exciting, but peaceful life with an ordinary woman. But maybe he preferred a glorious life based on a lie. It was a pity that we couldn’t hear his side of the story, but even if we could have, he wouldn’t have told the truth.

 

Amy Adams was well cast for the role. Her beautiful large eyes projected her heart through them, which was one of the themes of this movie. Christoph Waltz, who portrayed Walter Keane, was the heart of the story. He was a silver-tongued born liar, with a remarkably persuasive motor mouth. No words can describe how irritatingly well he played his part.

 

【感想】

ウォルター役のクリストフ・ヴァルツの演技が良かった!イラっとくる口のうまさ、嘘に嘘を重ねながらもそれがバレないと思っている滑稽さ。役者さん本人に苛立ちをおぼえてしまうほどでした。しかもこの方、アメリカ人にしか見えなかったけどオーストリア出身の俳優さん。ドイツ語、英語、フランス語に堪能だそうで・・・。英語に堪能とかいうレベルじゃなくて、口の上手いアメリカ人よりも数百倍話が上手いんじゃないかと思いました。びっくり。

 

マーガレット役のエイミー・アダムスも可憐で良かったです。Big Eyesというタイトルに相応しい大きな目、ピンと上を向いた可愛らしいお鼻。とても40歳には思えません…。アメリカの女性は強いと思っていましたが、1950年代、1960年代は女性が独立して暮らしていくには厳しい時代だったのだなぁ、ということが分かりました。

 

日本でも2015年1月23日から公開中。

 

【映画】Selma (2014)

Selma (2014)

出演:デビット・オイェロウォ、カーメン・イジョゴ、オプラ・ウィンフリー

評価:9 out of 10.

 

【あらすじ】

1965年アラバマ。アフリカ系アメリカ人公民権運動の指導者として活動した、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア氏の実話を基にしたストーリー。

 

 

【ネタバレあらすじ&感想】ネタバレです。Spoiler Alert

1965年、アラバマ州セルマ。憲法により黒人の選挙権は認められていたものの、白人の妨害により黒人は地域の投票所に登録することが出来ず、人口の50%を占める黒人のうち、選挙権を持っていたのは僅か2%だったそうです。

 

キング牧師を中心とする活動家グループは選挙権の平等を求め、セルマからモンゴメリーまでの平和的デモを行うのですが、警官や州兵から激しい暴力を受けます。無抵抗の一般人に催涙ガスを噴射し、逃げ惑う人々を警棒で激しく殴打する警官たち・・・。そしてそれを指示しているのは知事なのです。

 

 

静かでとても悲しい映画でした。特に、家族を亡くした80台の老人が悲しむ姿には胸を打たれました…。史実とはいえ暴力シーンが多く、非常に辛かったです。作品を見ているだけでも辛かったのに、実際にその時代を経験した人々がいることを思うと余計悲しくなりました。

 

この作品では、キング牧師を聖人扱いせず、彼の苦悩に焦点を当てていたように思います。非暴力主義を貫く決断をしたものの、セルマでのデモ活動で3人の方が亡くなられています。自分が下した決断がもたらした結果の重さを受け止め、それでもリーダーとして信念を曲げずに活動し続けるのは、決して簡単な事ではなかったと思います。

 

NYなどいくつかの都市では中学生が無料でこの作品を鑑賞出来るよう、篤志家からの寄付があったようです。以前ほどは酷くないとはいえ、ファーガソン事件などもありましたし、アフリカ系アメリカ人に対する差別はまだ根強いと思います。過去にあった事実から目を背けず、多くの子供達に過去の過ちを知ってもらうのは大切な事だと思いました。歴史的な事実としていくつかのエピソードは知っていましたが、やはり映像の力は大きかったです。

 

エンドロールで各場面の静止画が流れたのも美しく印象的でした。

 

現段階で日本公開は決まっていないようですが、心に響く作品だったので是非公開されてほしいです。

 

【映画】The Imitation Game (2014) / イミテーションゲーム

The Imitation Game (2014)

主演:ベネディクト・カンバーバッチ、キーラ・ナイトレイ、マシュー・グッド

評価: 10 out of 10

 

【あらすじ】

第2次世界大戦時、ドイツ軍が世界に誇った暗号機エニグマによる暗号の解読に成功し、連合国軍に勝機をもたらしたイギリスの数学者アラン・チューリングの人生を描いたドラマ。

(映画.comより)

 

【感想】ネタバレ感想です。Spoiler!

アメリカで11月28日に公開された、The Imitation Gameを観ました。日曜日朝9時台の回でしたが、7割程の入り。なぜか観客の殆どがお年寄りでした。

 

主演のベネディクト・カンバーバッチが、シャーロック風で良かったです。孤高の天才を演じさせたら非常にハマりますね。脳の高速回転に手足が追いついてなさそうなところとか、悪気は無いのに周りと上手く協調できずに誤解されるところなどが本当に自然!素敵でした。

 

ドイツ軍が世界に誇った暗号機エニグマには、”159 million million million” パターンの可能性があったとのこと。しかも毎日0時になるとルールがリセットされるのです。そして翌朝6時に新しく暗号化された指令が出回るので、18時間のうちに暗号を解読しなければなりません。政府の諜報機関に専門家が集められ、毎日毎日紙と鉛筆を持って必死に暗号を解きまくるのですが、京の単位の可能性がある暗号を人間の手で解読するのは全くの不可能。アランが設計した暗号解読機械がドイツ軍の暗号を解読することがなかったならば、第二次世界大戦の結果は違うものになっていたかもしれません。実際に、アランのおかげで第二次世界大戦の終結は2年早まり、何百万人もの命を救ったとされています。

 

ナチス・ドイツの侵略から全世界を救ったとも言えるアラン・チューリングでしたが、彼の功績は軍の最高機密とされ、エニグマが解読されたという事実も彼の存命中には公表されることはありませんでした。それどころか、当時は違法であった同性愛を理由に逮捕され、2年間の刑務所収監か、化学的去勢を受けるかの二択を迫られます。化学的去勢を選んだアランはその後青酸カリ入りのリンゴを齧って自殺。41歳でした。

 

エニグマの暗号を解くことで人類に大きく貢献し、現在のコンピューターの礎を築いた類まれなる才能が、同性愛を理由に迫害され、自殺に追い込まれる様子を見るのは辛かったです。イギリスでは1885年から1967年までの間に、およそ49,000人の同性愛者が有罪判決を受けたとのこと。大勢の名もなき人々が受けた理不尽な扱いを思うと涙が出ました。アランの場合は、2013年にエリザベス女王による正式な恩赦が認められましたが、死後60年以上経って功績が認められ、汚名を晴らせたとしても、亡くなった本人は勿論のこと、アランが自殺した当時には生きていたお母さんや家族などは、アランの功績を知ることもなく、同性愛者として罰せられたという辛い思いを抱えたまま亡くなったのではないでしょうか。

 

先週、映画館でFuryを観たのですが、第二次世界大戦を違う角度から描いたFuryとThe Imitation Game が自分の中でリンクして相乗効果をもたらした感じでした。Furyで描かれた、前線で戦車に乗って駒として動いた人々と、イミテーションゲームで描かれた、暗号を解くために後方で頭脳労働をした人々。それぞれが、置かれた立場で皆一生懸命頑張っているんだけれども、戦争が一旦始まってしまうと、個々の人々は大局に飲み込まれて、いくら個人が叫んでも考えても何も変えられなくなります。戦争に勝たねば!という大義のもと、不条理ばかりでどちらも切ない作品でした。

 

日本では2015年3月公開予定のようです。

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