The Glad Game > 【多読】Alan Turing: The Enigma: The Book That Inspired the Film The Imitation Game

ホーム > 洋書 > 【多読】Alan Turing: The Enigma: The Book That Inspired the Film The Imitation Game

【多読】Alan Turing: The Enigma: The Book That Inspired the Film The Imitation Game

Alan Turing: The Enigma: The Book That Inspired the Film The Imitation Game

【あらすじ】

第2次世界大戦時、ドイツ軍の暗号機エニグマの暗号解読に成功し、連合国軍に勝機をもたらしたイギリスの数学者アラン・チューリングの伝記。

 

【感想】映画の感想はコチラ

難しかった。息も絶え絶えになりながら読んだ、というか力及ばず途中で息絶えてしまうかと思った…。

 

映画のThe Imitation Gameを観て、エニグマの解読方法を詳しく知りたいと思って原書を読んだのだが、私の理解を越えていて謎は謎のまま。理解出来たのは、シーザーの時代に用いられていた、A→D、B→Eとアルファベットをずらしていく方法まで。ローターを組み合わせて矛盾を検出して・・というあたりは詳しく説明されているものの、さっぱり分からなかった。

 

この本を読んだことで、映画の脚本がどれほど優れていたかが分かった。映画では、エニグマ解読とアランの少年時代にきっちりフォーカスが当てられている。本ではアランの論文の説明や、当時の学説、コンピューターの概念などが詳細に書かれており、話が広がりすぎて非常に読みにくかった。その反面、映画では殆ど触れられなかったエニグマ解読以降のコンピュータープログラミングに携わった話なども知ることが出来たのは良かった。

 

映画ではベネディクト・カンバーバッチ演じるアランの奇人変人ぶりが目立ったが、本人も本当にあんな感じだったらしい。花粉症対策のためにガスマスク装着で通勤していたというエピソードも本当。学者仲間や本当に親しい人に対してはちゃんとしていたものの、学者としての能力はないがマネージメント能力に優れている上司を小馬鹿にしたり、知っている人とすれ違っても挨拶をはぶいたり。。。

 

映画のほうはかなりドラマタイズされていたようで、かつての婚約者ジョアン・クラークも本ではいつの間にか登場しており、映画のような演出は皆無。仲間たちとの軋轢も映画ほどではなかったのでは?と思った。これほど淡々と事実が書かれているだけの本から、あれだけのドラマを創りあげたのは素晴らしい。

 

アランの死についても謎が残った。映画ではアランの自殺の原因は同性愛の罪で逮捕され、化学的去勢を受けたため、という描き方だったが、それが原因なのかは本を読んでも判断出来なかった。逮捕されたのは自殺の2年前だし、ホルモン療法が終了したのも1年前。アラン自身はオープンなゲイで、周囲にもゲイである事を隠すことなく、魅力的な男性がいれば積極的にアプローチしていた模様。それでも兄と母へのカミングアウトは逮捕後だった。母はアランを責めることなく受け入れたようだし、同性愛者であることを恥じ入っていた様子も感じられない。自殺の前日まで全く普通に仕事をしており、来週以降の予定なども入れていたらしい。青酸カリりんごを齧って自殺したとされているが、りんご自体は調べられなかったようだ。自殺とされた現場にメモもなかったし、親しい人へのメッセージや自殺の素振りなども全くなかったものの、死ぬ前に遺産分割についての遺書は更新していたらしい。母が言うように冶金のために用いたシアン化カリウムがついた手でうっかり食べ物を触ったための事故なのか、軍の機密を知りすぎていたための他殺なのか・・・。

 

最後まで”事故”説を信じていたアランの母親は、1976年に93歳で亡くなるまでアランの戦時中の功績とコンピューター開発の詳細については機密につき、知らされていなかったようだ。ただ、息子が何か偉業を成し遂げたという事は感じていたらしく、”将来伝記を書く人のために”と、アランの学生時代からの書簡などを取っておいたらしい。そしてアランの死後、母親自身がアランの伝記を書いたとのこと。学生レポートのような出来だったらしいが、何も知らされないまま息子を信じた母の気持ちを思うと悲しかった。1976年にBBCで戦時中のエニグマ暗号解読に関するドキュメンタリーが製作され、この本の筆者がアランについての調査を始めたのがその年以降らしいので、後もう少し長生きしていれば、息子の功績を知ることが出来たのに・・と残念。

 

肝心な暗号解読、コンピューターの仕組みについてはよく理解できなかったものの、映画を観て疑問に思ったことが解決したので読んで良かったと思う。映画より先にこの本を読んでいたら確実に挫折していたはず…。

 

YL:9以上

語数:140,000語(概算)75%以降は訳注でした。

 

Alan Turing: The Enigma: The Book That Inspired the Film The Imitation Game

 

エニグマ アラン・チューリング伝 上

コメント:0

コメントフォーム
入力した情報を記憶する

トラックバック:0

この記事のトラックバック URL
http://yukomillennium.com/wp-trackback.php?p=5283
トラックバックの送信元リスト
【多読】Alan Turing: The Enigma: The Book That Inspired the Film The Imitation Game - The Glad Game より

ホーム > 洋書 > 【多読】Alan Turing: The Enigma: The Book That Inspired the Film The Imitation Game