【映画】ザ・ロストシティ(2022)

The Lost City (2022)

監督

出演

サンドラ・ブロック

チャニング・テイタム

ダニエル・ラドクリフ

 

サンドラ•ブロック演じるロレッタは考古学者の夫を5年前に亡くした未亡人。人気ロマンス作家なのですが、学生時代は古代ローマを研究し学位もあるせいか、throbbingなエッチシーンにしか興味なさそうなファン達を下に見ている様子がうかがえます。一方でチャニング・テイタム演じる表紙モデルのアランはアホの子丸出しだけど、いかにもな金髪の長髪カツラを被りロマンス小説の表紙を飾る事にプライドを持っていて、ファンの夢を壊さぬよう大事にしているいい奴なのです。この2人が人気ロマンスシリーズの新作ブックツアー初日に謎の金持ち(ダニエル・ラドクリフ)に攫われて、ロストシティと王妃の冠を探す手伝いをさせられるというお話。

 

救出に来たブラッドピットがアホ程カッコよかったのに序盤であっという間に退場してしまい、ブラピの贅沢遣い感も良かったです。

 

サンドラ・ブロックの方がちょっと年上だなとは思いましたが、チャニング・テイタムと16歳差だとは・・・。全身ピンクラメのジャンプスーツを着ても違和感なかったし、とても57歳には見えませんでした。顔面アップになっても毛穴さえ見えないし・・・。一体どれだけ努力して容貌を維持しているのか。男性の俳優さんではよく役作りのためにこれだけトレーニングしてマッチョボディを手に入れました!と過酷なトレーニングの話をしているけれども、女優さんの体型維持トレーニングと食事療法の方が厳しいのではないかと。一体どれだけ時間と金をかけているのかDVD特典映像などで公開してほしいものです。

 

この作品で“Sapiosexuality“という単語を覚えました。肉体ではなく知性に魅力を感じるという意味です。表紙モデルのアランは脳筋男で知性のカケラも見られないのでロレッタに見向きもされないのですが、共に冒険するうちにアランの純粋さ、ひたむきな情熱に絆されて2人の距離が縮まっていくのです。バカバカしくて楽しかった上にちょっとイイ話でした。人生にはコメディ映画が必要!

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NTLive The Lehman Trilogy (2019)

National Theatre Live The Lehman Trilogy

第75回トニー賞で最多5部門の演劇作品賞、演劇演出賞(サム・メンデス)、演劇主演男優賞(サイモン・ラッセル・ビール)、演劇照明デザイン賞(ジョン・クラーク)、演劇装置デザイン賞(エス・デヴリン)を賞したリーマン・トリロジー。6月24日から池袋シネリーブルで2週間限定上映されたため観に行きました。

 

素晴らしかった!3時間超のお芝居を立った3人で!男性ベテラン俳優3人が幼児から若い女性、お爺さんまで160年にわたる登場人物を全て演じ分けた様子は圧巻でした。舞台セットもオフィスのまま、背景の画像だけが変わっていきます。音楽はピアノの生伴奏だけ。鑑賞前は、3時間半は長すぎるかも・・・と自信が無かったのですが、一度も集中力が途切れることなく舞台上の3人に目が釘付けでした。トニー賞最多5部門受賞も納得の良さでした。

 

1844年、リーマン3兄弟の長兄がドイツからアメリカに移住し、アラバマに小さな衣料品店を開く所から2008年に経営破綻するまでを描いた作品です。「デニムという破れない布があるらしい」というような時代。最初は衣料品のみ扱っていましたが、周囲の農園から契約をまとめ、綿花を買い取り北部に転売する仲介業者となります。

 

大火事で綿花畑が焼けてしまい、多くの綿花プランテーションが再起不能と思われた時、農場主に資金を貸し付け、作付けに必要な種や道具なども売りつけました。6年にもわたる南北戦争で街が破壊された時は、投資銀行を設立しアラバマ州知事から資金を取り付けます。ピンチを活かしてビジネスが順調に拡大していく様子にワクワクし、1929年暗黒の木曜日の場面では、自分の持株のことが不安でたまらず株価をチェックしたくなるほど不安な気持ちに・・。リーマン兄弟のエキサイティングな人生を一緒に体験させてもらったような舞台でした。

 

心に残った名言をいくつか挙げておきます。リーマン創業者は「モノを買うために金を使うのではない。金を増やすために金を使うのだ」と言い、孫の世代のリーマンは「マーケティングの時代には客は必要だからモノを買うのではない。欲望のために買うのだ」と述べます。金持ちがどんどんお金持ちになるには理由がある・・・と自分の消費行動を反省した台詞でした。

 

もう一つは、年を取るために心構えというユダヤ教の教えです。“年を取ることは新しい土地に移住するようなものだ。これまでのやり方は通じないし、新しい言葉も覚えないといけない“というもの。ここでいう言葉は言語の事ではなく、新しい世代の仕事や経済の仕組み等のようです。リーマン一家の中で新しい世代が台頭してくる時は、最先端の感覚を持ち、新しいことにもどんどん挑戦し、眩しいくらいに頼もしいのに、70歳くらいになると過去の成功体験に囚われ投資先の嗅覚も鈍ってしまいます。自分は何も変わっていないのに周囲が先に進んで取り残されてしまう。年を取るということは、新しい国に突然放り出されるようなものだ、という心構えが急に自分の身にも降りかかってきたような感覚でした。

リーマン3兄弟の3世代、160年にも及ぶ歴史をたった3人で演じきったもの凄い作品でした。再上映してくれて良かった。ナショナルシアターライブは、トム・ヒドルストンファンにもかかわらず、「コリオレイナス」で寝落ちしてしまったので、その後は敬遠してしまっていたのですが、今後は積極的に見にいこうと思いました。

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サム・ライミのすべて

サム・ライミのすべて

 

本屋さんで出会って思わず買ってしまった本。ちょうどサム・ライミ監督のドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネスが公開された時期だったので、目につく場所に置いてありました。

 

子供の頃、なぜかサム・ライミ監督の「死霊のはらわた」が好きで、ビデオテープを持っていました。子供の頃は心の底から怖いと思っていました。特に足首に鉛筆を突き刺してグリグリするシーンなどは、子供にも再現可能で、いつかやられてしまうのではないかと本気で恐れていました。数年後にビデオテープに緑のカビが生え、触るのもおぞましい存在となってしまった思い出の作品です。今、配信で見返してみると、ハタチそこそこの学生さんが自分達でお金を集めてこの作品を!?と称賛の思いが強すぎて全く怖くありません。

 

死霊のはらわたは、大学を辞めて映画制作するため、スーツを着て近所の家を回り資金を募ったそうです。そして撮影中も2週間おきに進捗具合を手紙で出資者に知らせていたのだとか。撮影は過酷で、期間も長引いてしまったため、スタッフも出演者も次々と脱落していったそうです。

そこまで苦労して完成させた作品ですが、本国アメリカでは公開予定が立たず、カンヌ映画祭でプロモーション試写を行ったそうです。それを見たスティーブン・キングが好意的なレビューを書いたことで興味を持ってくれた配給が現れ、アメリカ公開が実現したらしいです。キング先生大絶賛の本や映画はいつも面白いという訳ではなく、割と気軽に大絶賛するよね・・と思っていたのですが、大御所が褒めるということは、誰かの人生を劇的にかえる可能性があるのだなぁと思ったエピソードでした。

 

西部劇クイック&デッドの監督をなぜサム・ライミが??というのは、主演に決まった売れっ子女優のシャロン・ストーンが死霊のはらわたIIIの大ファンで、サム・ライミ監督を指名したからだとか、コーエン兄弟との関係や、予算が潤沢についた作品でもプロデューサーなどからの口出しが多く、ファイナルカット権もないために不本意な思いが続いた話などが興味深かったです。

 

監督インタビューで、「実際、僕はあまりポピュラーじゃない映画を20年間作っていて、あまりお金を稼がなかった。だから僕は、自分はそういうタイプのフィルムメイカーだと思っていた」というコメントがありました。死霊のはらわたが有名だからといってお金を稼げたわけではなかったのが意外でした。この本では、サム・ライミ監督の作品それぞれの解説や監督インタビューなどがあり、さらっと読める読み物として楽しめましたが、監督のインスピレーションが何処からくるのか、制作風景や、作品を作っていないときは何をしているのかなども聞いてみたかったかな。

 

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【ドラマ】The Mandalorian

マンダロリアンシーズン1、2を観ました。

 

何ですかこの可愛い生き物は!!!愛らしすぎてキュン死しそうでした。

 

ドラマ「マンダロリアン」とは、2019年からディズニー+で放映されているスターウォーズシリーズの一つで、エピソード6 /ジェダイの帰還の5年後が舞台です。帝国が崩壊し、ファースト・オーダーが出現する頃の時代設定で、賞金稼ぎのマンダロリアン、ディン・ジャリンが主人公。

 

賞金稼ぎのギルドに仕事を斡旋されたマンダロリアンは、50歳のターゲットの捕獲または殺害を依頼されます。マンダロリアンはターゲットを確保し、依頼主に生きたまま届けますが、この50歳のターゲットが、ヨーダと同じ種族の“赤ちゃん”なのです・・・。賞金首を依頼主に送り届けたものの、赤ちゃんの姿を見て罪悪感をおぼえたマンダロリアンは、掟を破り依頼主からベビー・ヨーダを奪還します。ギルドや依頼主などから追われる身となったマンダロリアンが、ザ・チャイルドの帰るべきところを探して各地を旅する物語です。子連れ狼+西部劇&スターウォーズといった雰囲気で、アクションが素晴らしいだけでなく、ディン・ジャリンが属する謎の戦闘集団「マンダロリアン」の謎とディン・ジャリンの過去が明かされていく過程や、一匹狼だったディン・ジャリンとザ・チャイルドが徐々に親子のような信頼関係を築いていくストーリー展開も非常に良いのです。

 

ここからはネタバレ感想です。

スターウォーズの本編では、ルーク・スカイウォーカーとダース・ベイターは実の父子でありながら、帝国軍と反乱同盟軍として戦い、アナキンの死の間際に一瞬だけやっと心が通いあったという悲しい関係でした。マンダロリアンでは、ディン・ジャリンとザ・チャイルドはfoundling (拾った子) で種族も違うにも拘らず、強い親子の愛情で結ばれているように見えます。決して他人に素顔を見せてはならないというマンダロリアンの掟を固く守っていたディン・ジャリンが、ザ・チャイルドを守るためにマスクを取って作戦を決行する姿がとても感動的でした。

 

砂漠や宇宙、溶岩の川など景色も素晴らしく、世界中で撮影したのかと思いきや、巨大なLEDスクリーンの屋根、壁を作り、リアルタイムで背景を映しながら俳優と撮影したようなのです。メイキングのドキュメンタリーで技術が紹介されていて、昔ながらの青や緑の無地スクリーンで虚空を見つめながら演技するのではなく、リアルに移り変わっていく背景を見ながら作品世界にイマージョンする素晴らしさが語られていました。

 

マンダロリアンを演じたペドロ・パスカル氏は殆ど顔は出ないのですが、とにかく声が良いのです。私は声で俳優さんを好きになるので、彼の心地良い声を聞いてすっかりファンになりました。

 

メイキングドキュメンタリーも革新的な技術やスターウォーズに対する情熱が語られていて面白かったです。

 

ディズニープラスでとても楽しみにしていたドラマLOKIがどうしようもなく面白くなくて、いくらトムヒファンでもポジティブな言葉も出てこないほどのガッカリさだったので、ディズニープラスのドラマは全くチェックしていませんでした。マンダロリアンから始まるスターウォーズの新ドラマシリーズたちは安心して見られそうな気がします。

 

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【和書】映画を見ると得をする(1987)

映画を見ると得をする

1987年に刊行された池波正太郎氏の映画エッセイ。「死ぬまでに見るべき1001本の映画」活動で古い映画作品を見ているので、昭和62年に映画を見ていた人の日常を知りたいと思い読んでみました。

 

映画は封切りで1300円の時代です。週1回は映画館で映画を見るべきという主張の本なのですが、かなり驚いたのが次の一節。「目撃者」というアメリカの映画を観た時のエピソードです。

ところが映画自体はそれほどよくないわけだ。こりゃ少しおかしいと。それなら是非、その原作の戯曲を読んでみたいというふうに好奇心を起こすんだな。

当時、これは日本では翻訳が出ていなかったから、ぼくらの先輩なんかで好きなやつは、アメリカから原書を取り寄せるわけだ。丸善に頼んでね。僕らは英語読めないから、ガリ版で全部自分で翻訳して、ぼくらに暮れたりする。それをぼくらは読むでしょう。

 

丸善に頼んで取り寄せ!自主翻訳してガリ版!!いにしえのオタクは大変な労力をかけて映画の原作本を読んでいたんですね。ガリ版、言葉としては知っているけど実際使ったことはありません。今では日本公開されるような作品の原作本は本屋さんに置いてあることも多いし、洋書もネットやオーディブルサイトでサクッと入手出来ます。メイキングや監督・俳優のインタビュー動画も簡単に見ることができるようになりました。映画ファンにとっては本当に良い時代になったなぁと思いながら読みました。

 

 

 

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