創作する遺伝子―僕が愛したMEMEたち

創作する遺伝子―僕が愛したMEMEたち

 

 

 

ゲームクリエイターの小島秀夫監督が1万円をもらって池袋ジュンク堂でお買い物をする動画です。小島監督、毎日本屋さんに行くんですって!目的の本を買うためにしか書店に行かない自分にとってはその一言が衝撃で、もっと色々知りたくなって著書を手に取りました。

 

小島監督がこれまでに出会った本や映画、音楽を紹介しています。最近の売れ筋ではなく、数十年前から現在までの本が紹介されているのが良いです。監督は私よりもひと世代ほど年上なので、これまで知らなかった有名どころの作品の当時の受け止められ方なども知ることが出来て興味深い。どのエッセイからも、本に対する愛が溢れていて、読みたい本が無限に増えてしまいます。

 

本に対する考え方で素敵だな、と思ったのは

本屋の店頭で“当たり“が検索出来ないように、創作の現場でも正解を検索できるはずがない。それは常に自分の中にしかないのだ。だから、それを見極める感性乱数と目を磨き続けるしかない。

という部分。たくさん読んでも心の底から良かった本と出会えるのは100冊に1冊かもしれない。でもその1冊に出会う確率を上げるためには自分の感性を磨くしかない。

 

私は本の好みがかなりはっきり決まってしまっているので、これまでは目的なく本屋さんに行く発想はありませんでした。ハズレを引きたくないという気持ちが強すぎるのかもしれない。もう少し自分の境界を広げたいと思えた一冊でした。

 

小島監督といえば、デスストランディングを発売時に買ったのですが難易度が高すぎて放置してたんですよね・・。荷物を運ぶにもバランスが取れずに落としてしまうし、地形が読めず同じ場所で延々と迷うし、お化けみたいなのに追いかけられて命からがら逃げてきてそのままでした。こんなに本や映画の好きな人が作ったゲームなら素晴らしいに違いないので再チャレンジしてみようかな。

 

 

 

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【オーディオブック】The Puppet Show /ストーンサークルの殺人

The Puppet Show (2018) / ストーンサークルの殺人

【あらすじ】

イギリス、カンブリア州のストーンサークルで次々と焼死体が発見された。マスコミに「イモレーション・マン」と名付けられた犯人は死体を猟奇的に損壊しており、三番目の被害者にはなぜか、不祥事を起こして停職中のNCA(国家犯罪対策庁)の警察官「ワシントン・ポー」の名前と「5」の字が刻み付けられていた。身に覚えのないポーは上司の判断で停職を解かれ、捜査に合流することに。そして新たな死体が発見され……英国推理作家協会賞最優秀長篇賞ゴールドダガー受賞作。(Amazonより)

 

【感想】

小島秀夫監督が紹介されていたので読んでみました。

地道な捜査が特徴の作品かな、と思いつつ半分読んだところから一気に物語が動き出しスリラー作品に。読み応えがありました!

 

主人公のワシントン・ポーの観察眼と、女性分析官ブラッドショーの科学捜査の組み合わせが素晴らしく、性格が正反対の2人の会話がいい味を出しています。

 

読み終わる前に原書で出ているシリーズ5作目まで買ってしまいました。夢中で読めるミステリーシリーズを探していたので嬉しい出会いでした。

 

オーディオブックはイギリス英語で、くっきりはっきり朗読されているのでかなり聞きやすかったです。ナレーションが良いのでオーディオブックがおすすめ。

 

YL:6−7くらい

語数:88,000語(推定)

 

 

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【オーディオブック】Shogun

Shogun (1975) by James Clavell

2024年2月27日より真田広之主演のShogunがディズニープラスで放映されるとのことで、原作のオーディオブックを聴いてみました。53時間34分の大作!

 

原作は1975年に発表された、ジェームズ・クラベルによる歴史小説です。徳川家康と三浦按針をモデルとし、イギリスから漂着した航海士ブラックソーンが日本の政治と文化に関わっていく様子が描かれています。1990年までに世界で1500万部を売り上げたベストセラーらしく、ドラマ化をきっかけに読むことができて良かったです。

 

ただ、オーディオブックの出来はイマイチ。ナレーターさんのダミ声が一本調子なのと、語尾に「ネ?」とつける独特の外国人言葉、“So sorry” が多用されすぎていて気が狂いそうでした。豊臣秀吉がモデルの太閤亡き後、誰が天下を取るのか。トラナガとブラックソーンの運命は!?というあらすじ自体は興味深いのですが、とにかく冗長すぎました。

ドラマで10話程度にまとまればちょうど良いかもしれない。真田広之さんがプロデューサーも務めているようなので、きちんと監修された日本が描かれることでしょう。

 

YL:7.5くらい

語数:281,250語(概算)

 

 

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第15回ヴァーチャル夏休み

年に1回やる気を出す季節がやってきました。第15回ヴァーチャル夏休み参加します。

 

ヴァ夏のためにBarron’s 1100 words you need to know 

を用意しました。そう、挫折本と名高いアイツです。

 

英語話者の高校生が大学受験対策に用いる本で、46週間に渡り、週5日、1日15分で1100単語を覚える体裁になっています。ヴァーチャル夏休み中6週間で完結するボキャビル本を探していたのですが、本屋さんで物色した結果、この本が一番扱いやすそうだったので1年かけて取り組むことに決めました。やる気Maxなヴァ夏スタート時に開始すれば勢いよく進められるのではないかと。

 

かつては毎日熱心に単語を覚えていましたが、重要度の高い単語は多読・多聴で定着し、出会う頻度の低いものはフラッシュカードで覚えても長く定着せずに忘れてしまっていたので、久々に本腰を入れてボキャビルに取り組む必要性を感じていました。

 

最初は本で買ったのですが、LingQに取り込んで1100 words専用のフラッシュカードを作るためにKindle本も追加購入しました。80 words前後のショートストリーにその日のノルマの5単語と過去に出てきた単語が散りばめられているので、それをハイライト→KindleハイライトページからコピペでLingQリーディングに送る→単語をピックアップという流れです。1100タグをつけておけば、後からタグで1100 wordsのみのフラッシュカードを抽出することが出来ます。

以前に他の素材からLingQに取り込んだ単語も多く、ドラマSHERLOCKからの例文が出てきました。

 

レベルは英検1級プラスアルファでしょうか。英検1級パス単などを確実に覚えた上でやると新出単語が減って取り組みやすくなると思います。

 

Kindle版は、練習問題の番号を押すと答えが出てくるのでとても便利です。問題集だと巻末をめくって答え合わせるするのが一手間なのでありがたい機能です。本もKindle版も買ってしまいましたが、一発で答え合わせが出来る機能があると先に分かっていれば本は要らなかったかも。

 

ボキャビル以外では、LingQリーディングと洋書、オーディオブックを普段通りに行う予定です。

 

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【オーディオブック】Hidden Valley Road (2020) /統合失調症の一族 遺伝か、環境か

Hidden Valley Road (2020) / 統合失調症の一族 遺伝か、環境か

発音:アメリカ英語

評価:5/5

【概要】

第二次大戦後、ギャルヴィン一家は空軍に籍を置く父親の都合でコロラド州に移り住む。ベビーブームを背景に12人の子宝に恵まれた一家だったが、1970年代半ばには子供のうち6人が統合失調症と診断された。厳格な父母によって育てられた容姿端麗で運動能力の高い息子たちは、なぜ次々に精神疾患に見舞われたのか?
一方で、サイコセラピーと抗精神病薬による療法が主流だった当時、遺伝的側面から統合失調症の原因究明や治療・予防法の発見を目指す研究者たちがいた。彼らはギャルヴィン家の人々と出会い、様々な検査等を通じて、統合失調症にかかわる遺伝子を突き止めていく――。

精神医療研究に多大な影響を与えた一家の姿を通して「病」と「人間」の本質を問い、各メディア年間ベストブックを総なめにしたノンフィクション!(Amazonより)

 

【感想】

英語仲間のエミコさんに紹介された本。衝撃的でした。12人きょうだいのうち、6人が精神分裂病を発症した一家のお話です。

 

12人きょうだいというと、貧乏子沢山を想像してしまいますが、ギャルバン一家の父は軍人でポリティカルサイエンスで博士号を取り、母は地元のオーケストラやバレエなどの催事を取り仕切っていた教養のある家庭だったようです。一家はカトリックで、お父さんが子供をたくさん欲しがったため、20年間のうちに12人の子供が生まれました。12人のうち最初の10人は男の子・・家の中は常にすさまじい喧嘩だったそうです。

 

精神分裂病を発症した男の子6人は学生時代はスポーツに打ち込み、大きなトラブルもなく高校を卒業しました。長男のドンが精神を病んだのは、若くして結婚した妻と離婚話が持ち上がった頃でした。青酸カリを入手し、無理心中を図ったのです。妻への暴力や妄想、幻聴などが酷くなり、両親の手に負えなくなったドンは公立の精神病院に収容されてしまいます。

1960年代は、たとえ入院したとしても有効な治療法はありませんでした。原因もわかっておらず、子供を精神分裂病にするのは母親に性格的な特徴があるとされていたそうです。母親のミミは、精神分裂病を発症した子供たちの面倒を見るのに必死で、健常な子供を構う暇はありませんでした。下の女の子2人を次男一家によく預けていたのですが、次男も精神病を発症しており、妹たちに性的虐待をしていたのです。妹たちが成人した後、この問題を母親に打ち明けましたが、「お兄ちゃんは病気だったから仕方がない」「私(母親)も子供の頃におじから性的虐待を受けていた」などとまともに取り合ってもらえず、母娘の関係が拗れてしまいます。12人も子供がいるだけでも大変なのに、そのうち6人が精神病を発症したとあっては、一人一人に手間をかける暇は全くとれず、健常な子供達の心にも傷を残してしまったのが気の毒でした。

 

ギャルヴァン一家は精神病発症者も、健常なメンバーも研究機関にDNAサンプルを提出していたので、技術が発達した30年後に遺伝子の変異が見つかったそうです。ただし、一つの変異=病気の原因という一対一対応の疾患ではないので、治療法を確立出来るわけではないようです。

 

これだけ大変な思いをした本人や家族の話を読むと、これは個人や家族の努力ではどうにかなるものではなく、国や社会の助けが必要だと感じました。数々のエピソードに圧倒されましたが、精神疾患を怖がらせたり、差別を助長するものではなく、苦しみながらもより良く生きようとした一家の話を通じて精神疾患への理解が深まる本だと思います。

YL:8

語数:112,723語(概算)

 

 

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