【オーディオブック】Paris The Memoir Extended Edition (2023)

Paris: The Memoir Extended Edition (2023)

Written and read  by Paris Hilton

時間:9時間2分

発音:アメリカ英語

評価:4 out of 5

書評: Paris: The Memoir by Paris Hilton

 

英語仲間のまりこさんが読んでいて気になった本。
私の人生とパリス・ヒルトンの人生が違いすぎるので、彼女の視点から世界を見てみたいと思い、この本を読んでみることにしました。だいぶ前のことですが、彼女が日本のテレビ番組に出演した際、インタビューの人が渡した小さなプレゼントをチラリとみてからソファの後ろへ無造作に放り投げたんですよね・・。その失礼な態度が強く印象に残り、彼女がどのような人物なのかを知りたくなりました。

 

感想

パリス・ヒルトンは自分自身をブランド化し、売り込むのがとても上手だと思いました。20代の頃は「おバカなブロンド美人」というキャラクターを演じ、リアリティ番組で時代に乗って成功したわけです。しかし、40代になってその戦略では魅力的に見えなくなった今、実は知的で洗練された人物であったことをアピールしようとしているように思えます。彼女は過去の愚かな行動をADHDのせいにしていて、確かにその影響はあるかもしれませんが、生い立ちも大きな原因であるように思えました。

 

彼女の人生で本当に気の毒に感じたのは、プロヴォ・キャニオン・スクール(Provo Canyon School)という問題児向けの寄宿学校に送られたことです。両親は彼女の反抗的な態度に手を焼き、高額な費用を支払ってこの学校に入れれば更生できると考えました。

しかし、実際にはそこは少年刑務所のような環境で、彼女は基本的人権を奪われました。身体検査の名のもとに全裸にされ、勉強の代わりにトイレ掃除をさせられるなど、過酷な生活を強いられました。何より衝撃的だったのは、両親が彼女をこの学校に送るため、夜中に二人の男性を雇い、彼女を自宅から拉致させたことです。もし私の元ルームメイトからこうした「公認の拉致」について聞いたことがなければ、彼女の話を信じられなかったかもしれません。私の元ルームメイトは、違法薬物に手を出し、盗みを働いていた息子を更生させるために、同様の「誘拐業者」を雇いました。息子さんは無理やり飛行機に乗せられ、「寄宿学校」に送られましたが、反抗的だったため、手錠をかけられ独房に監禁されたそうです。パリスの話と非常に似ているため、同じ学校だった可能性があります。パリスの両親が彼女をその環境に置いたのは、明らかに間違いだったと思います。

 

私が最も気になったのは、彼女が逃亡を試みたときのエピソードです。パリスが学校から逃げ出した際に、14歳の少女がついてきました。二人は長距離バスでロサンゼルスに向かい、数日間を共に過ごしました。しかし、パリスは友人に連絡し、飛行機のチケットを手配してもらいます。ただし、そのチケットは彼女の分だけでした。彼女は14歳の少女をレストランに連れて行き、トイレに行くと言って席を立ち、そのまま空港へ向かったのです。自分のことで精一杯だった、お金は渡したという言い訳はあったにせよ、14歳の少女を黙って置き去りにしたのはひどい行為です。パリス自身も当時17歳でしたが、この出来事から彼女の本質が垣間見える気がしました。

 

まとめ

パリス・ヒルトンの強靭な意志の力には感心します。彼女は周囲の意見に流されることなく、自分の望むものを手に入れるために突き進みます。その強さは羨ましいとも思います。しかし、彼女の成功は、彼女が裕福であり、必要な支援を買うことができたからこそ成し遂げられたものだと思います。例えば、彼女は男の子と女の子の母親ですが、それぞれ2人の代理母に出産を依頼しています。男の子と女の子の双子が欲しかったようですが、1人の代理母に双胎を依頼すると流産率が高まることから、同時期に2人の代理母に依頼したというのです。お金がなければ出来ることではありませんよね。努力はしているかもしれませんが、その土台には特権があったことを思い起こさせるエピソードでした。
Paris: The Memoir は、彼女の人生を垣間見る貴重な一冊ですが、新たなブランド戦略なんだろうな、と思えた作品でした。

 

日本語版もあります。

 

YL:6−7くらい

語数:78,284語(概算)

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【オーディオブック】The Ministry of Time (2024)

The Ministry of Time (2024)

By Kaliane Bradley

Read by George Weightman , Katie Leung

時間:10時間22分

発音:イギリス英語

評価:3/5

The Ministry of Time: The Instant Sunday Times and New York Times Bestseller (English Edition)

 

【ネタバレあり感想】

2024年Goodreads SF部門1位を獲得したThe Ministry of Timeを読みました。

期待が大きかっただけにがっかり感も大きかった・・・。

本作の主人公は、政府の極秘プロジェクトに参加することになった公務員の女性。このプロジェクトでは、歴史上の人物を元の時代から連れ出し、現代社会に適応させる試みが行われています。彼女が担当するのは、19世紀中頃にフランクリン探検隊の一員として命を落としたグラハム・ゴア司令官。二人が次第に深い絆を築く中で、物語は「権力」や「政治」「時間を超えた愛」などを掘り下げていくのですが、SFというよりロマンス要素が強く感じられたのが私的には残念ポイントでした。

ポテンシャルにあふれた作品だけに、その可能性を十分に活かしきれなかったように感じます。政府の秘密プロジェクトによって歴史上の人物が現代に連れ出され、彼らを現代社会に適応させるための「ブリッジ」として主人公が選ばれるという設定にはワクワクしました。ただ、この設定を活かしきれず、歴史的トラウマやアイデンティティの問題に踏み込むことなく、結果的に平凡なロマンスがメインになってしまったように感じました。

キャラクターの深掘り不足

問題のひとつは、主人公の背景がほとんど活かされていないことでしょうか。彼女の母は、カンボジアからイギリスに移住しており、ポル・ポト政権の恐怖を間接的に経験したのではないかと思います。作中で「キリング・フィールド」について言及される場面はありますが、その歴史が主人公の人生にどのような影響を与えたのかは深く描かれません。

この作品は、異なる時代から連れてこられた人々の「喪失」や「適応」に焦点を当てています。しかし、彼女が「歴史から切り離された者たち」とどのように共鳴するのかが描かれず、ただの観察者としての役割にとどまっているようにみえます。結果的に、彼女は個性の薄いナレーターにしか感じられず、物語に深みを与えるはずの要素が活かされていないのが惜しかったです。

 

ロマンスに偏りすぎたストーリー展開

もう一つ残念だった点は、主人公が担当することになるグラハム・ゴアの扱いです。彼は19世紀の南極探検隊に参加し、極寒の地で命を落とすことになった隊員の1人です。極限状態での生存、仲間たちの死、そしておそらくは人肉食を含む壮絶な体験を経て亡くなったと思われる人物が、豊かなこの現代に連れてこられたらどんな反応を示すのか?これは、非常に興味深いテーマになり得たはずです。

しかし、作中のゴアは、単なる「昔の人」枠に収められてしまい、Spotifyに驚いたり、現代の服装に戸惑ったりする場面がメインになっています。彼の過去の壮絶な経験や、生き延びたことへの葛藤、仲間たちを失った悲しみなどがあまり感じられません。南極探検隊という題材自体がドラマチックな展開になり得たと思うのですが、そのポテンシャルは活かされず、代わりに「19世紀の紳士と現代女性の恋愛」が描かれるのみとなってしまいました。

タイムトラベルや歴史上の倫理的問題、国家による歴史改変といったテーマが提示されながら、それらはほぼ掘り下げられず、ロマンスがメインに感じられてしまうのが残念でした。主人公とゴアの関係は悪くはないものの、感情の積み重ねが薄く、いつの間にかなし崩しのように恋愛関係に落ちてしまったかのように思えました。

本作が純粋なロマンス小説として売り出されているのなら、それでも良かったかもしれません。しかし、「政府のタイムトラベル実験」「歴史から引き抜かれた人々」「極寒の地で死んだはずの男」という設定ならばどうしてもサイエンス・フィクションを期待してしまいます。

最初から「歴史やSFの要素を交えたロマンス小説」として読むなら楽しめたかもしれません。勝手に骨太な歴史SF小説と期待した私が悪かったのかも。

YL:7くらい
語数:96,097語(推定)

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1100 Words You Need to Know 終了

ついに!1100 Words You Need to Know をやり終えました。

“ in just 15 minutes a day!” なんて書いてありますが、とんでもない。休み休みではありますが、1年半かかりました・・・。

 

最初は本を買って書き込んでいたのですが、LingQで単語帳を作ったら便利なのではないかと思い立ち、1100の電子版を買い直しました。文章部分をハイライトすると、Kindleメモというページに反映されるので、それを章ごとにコピー→LingQにペーストという手順です。

 

ここから、1100ワードを選んで登録し、一つ一つに“1100“タグを付けました。あとで単語カードで学習する時に、全単語から1100 words本の単語だけを抽出するためです。

 

一つずつタグを付けていると、2009年頃にLingQに取り込んだ“Life of Pi” という洋書本の単語と結構重なっていることに気付きました。1100 wordsから登録した単語が1076個(なぜか24個足りない)、Life of Piから登録した単語が996個。このうち1100 words本にも登録されている単語が69個でした。reading levelは小学校4−6年生となっていますが、英語ネイティブ大学入試用の1100 wordsも混じっているのですね。

 

LingQは、これまでに登録した単語は黄色マーカー付き、または既に覚えた単語は点線下線付きで出るのですが、1100 words登録で全く新出の単語は少なかったです。これまでThe Economistやドラマスクリプト、リーディングのグループレッスンで精読した洋書などを登録していたので、1100 wordsもこれまでに出会ったものの方が多かったです。覚えていたかどうかは別ですが。

 

多読で語彙を学ぶと、即座に英単語→日本語に訳せる単語試験的な覚え方ではなく、文章の中で意味が分かるというやり方になります。それでも1100 words の中でも頻出の”absurd” レベルは即答できます。今回1100 wordsを取り込んでフラッシュカードで勉強したことで、英語→意味を即答できるレベルに解像度が上がった単語が増えたかも。

 

たくさん読み聴きして単語に出会わないとそれも忘れてしまいそうですが。

 

久しぶりに勉強らしい勉強でした。2023年ヴァーチャル夏休み課題、1年半かかりましたが終了です!

 

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【オーディオブック】Room to Dream (2018)

Room to Dream (2018)

By David Lynch, Kristine McKenna

Narrated by David Lynch, Kristine McKenna

時間:15時間47分

発音:アメリカ英語

評価:星5

 

2015年1月15日にデヴィッド・リンチ監督の訃報を知り、ドキュメンタリー「The Art Life」と、こちらのオーディオブック「Room to Dream」を聞きました。

 

Room to Dream は、Kristine McKenna氏が当時の資料や知人たちのインタビューをまとめた自伝を読みあげ、次の章でリンチ監督がその当時の思い出を自由に語るという珍しい形式のオーディオブックです。リンチ監督の幼少期から、2017年ツインピークスリミテッドシリーズまでが語られています。

 

子供の頃にツイン・ピークスにハマり、「ローラ・パーマーの日記」という本まで読みました。今回伝記を読み、あれは監督の長女さんが書いた本であることを知りました。

 

今取り組んでいる、「死ぬまでに観たい映画1001本」には、「イレイザーヘッド」「エレファント・マン」「ブルーベルベット」の3本が入っています。3本とも素晴らしい作品ですが、特に感銘を受けたのはエレファント・マンでした。ストーリーに感動するのは当たり前なのですが、とにかく映像が素晴らしかった。同じように世界を見ていても、こんなにも見え方、捉え方が違うのかと。Room to Dream では、エレファント・マンを監督することになった時、イレイザーヘッドしか代表作がなく、しかもイギリスでは全く知られていないため、“田舎者のアメリカ人“としてあからさまに冷遇するスタッフもいたそうです。デヴィッド・リンチ監督は、この作品に限らず、大声を出して怒ったり不機嫌な態度を取ることは全くなかったそうです。主演のアンソニー・ホプキンズの態度は特に悪かったようで、監督の演技指示に従わなかった様子が書かれていました。請われて編集前の映像を数人に見せた時などは。「酷すぎる。こんな作品に関わったと思われたくないからクレジットから名前を外してくれ」と言った人までいたらしいのです。エレファントマンは世界各国でヒットし、配給収入は23億円余りに上ったそうですが、完成前の試写で、それほど出来が悪かったということがあり得るのでしょうか。かなりの逆境を乗り越えての作品だったことがうかがえます。

 

イレイザーヘッドを初めて見た時は、ストーリーの異質さのみに注目し、“いまいち分からなかった“という感想を抱いてしまったのですが、学生プロジェクトとして、何もかもが手探りで撮影に4年、ポストプロダクションに1年かかった様子を知った今の状態で、ぜひもう一度見直したくなりました。商業的な成功の見込みもないまま4年間も自主映画製作に没頭していたため、ある日父と弟が「子供も生まれたんだし、映画制作はやめてマトモに働きなさい」と説得に来たエピソードもありました。製作中に妻は子供を連れて出て行ってしまいますが、リンチ監督からは焦りや不安は感じられず、創作に没頭する喜びのみが感じられて圧倒されました。

 

なぜリンチ監督作品に惹かれるのか。実生活では“不安“をなるべくなくしたいと思っているのに、監督が描く不安感や、物事の二面性に引き付けられてしまうのです。。頭の中のアイデアを鮮明に形に出来る表現力も素晴らしいです。亡くなってしまったのはとても残念でしたが、訃報をきっかけに、監督のアートライフや作品製作の裏側を詳しく知ることができたのは良かったです。

 

YL:7くらい

語数:139,500語(概算)

 

 

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ローマは一日にして成らず──ローマ人の物語

ローマは一日にして成らず──ローマ人の物語

【商品説明】

知名度のわりには、日本ではその実態があまり知られていないローマ帝国。1993年に新潮学芸賞を受賞した本書は、その帝国の歴史を人間の生きるさまから描いていこうという壮大な構想による「ローマ人の物語」シリーズ第一弾。ローマ建国からイタリア半島を統一するまでの帝国の誕生期にあたる多難な500年間に生きた王や貴族、庶民にまで焦点を当て、彼らの足跡と周辺の事情を丁寧に追っていく。

元老院と市民集会を定めた建国者ロムルス。暦を定め、多神教を守護神という概念で定着させた2代目の王ヌマ。息子のスキャンダルのためにローマ市民により追放された最後の王タルクィニウス。上下水道やローマ街道を最初に作らせた貴族アッピウス。そして、貴族の横暴に対して全員で山に立てこもり抗議する市民。

著者の筆にかかると、そうした人物たちが銀幕上の俳優のように生き生きと動き出す。「お互いに、古代のローマ人はどういう人たちであったのか、という想いを共有」していくうちに、帝国の歴史から元老院や護民官などの政治システム、そして何より古代ローマ人の考え方までをごく自然に理解できるようになる。本書は、退屈なものと決めつけられがちな歴史解説書にまったく新しい息吹を吹きこむことに成功した一冊である。ちなみにこのシリーズは、著者のライフワークとして1992年から2006年にかけて毎年1作ずつ書き下ろされていく。(鏑木隆一郎)

 

【感想】

2015年に購入した本を10年かけて読了!買った時は興味がなさすぎて半分で脱落したのですが、2024年末に映画グラディエーター2を観てローマに興味を持ち再トライ。今回は映画を観た後の興奮冷めやらぬうちに読み始めたせいか、最後まで読み通すことができました。とは言っても、全15冊のうちの1冊目。紀元前753年ローマ建国から前270年のイタリア半島統一までです。史実だけど物語のように楽しみながら読むことが出来ました。

 

私は高校時代、世界史がとても得意だったと思っていたのですが、グラディエーター2でロムルスとレムスが狼から授乳されている有名な像を初めて見た気がして、何もかも忘れていることに危機感を覚えたのです。あの時は歴史好きだと思っていましたが、高校卒業以来、歴史本を全く読まなくなったので何も覚えていないのも当然かも。

 

シリーズを全部読んでからローマ旅行に行くのが目標になりました。いや、そんな悠長なことではローマ行きを逃してしまいそうなので、シリーズを読み進めつつ、機会を設けてローマ旅行に行こうと思います。

 

 

目白庭園

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