脂肪吸引手術の死亡率

連日報道されている脂肪吸引術後の死亡事故。 日帰りで手術を受けられて傷も目立たないとあって気軽に受けられるイメージがあるけど、 お昼の情報番組を見ていたら、お腹まわりの手術で73万円以上、両足だと94万円以上かかるとのことでびっくり。全然気軽じゃないじゃん。一回の施術で最大4Kgの脂肪が取れるらしいが、自力で痩せたら自分に70万円のご褒美をあげることにしたほうが安全にダイエットできて断然楽しみがあると思うけど。

70万円以上払った上に、合併症で亡くなった可能性があるとは残念極まりないことです。手術を受けられる方は、よもや自分が死ぬ可能性があるとは思わないでしょう。家族も”元気だったのに手術で亡くなるなんて許せない”とコメントされていた。今回の死亡は、2日前の脂肪吸引手術と因果関係があるかはわからないそうだけれど、腸管穿孔があったということだから手術との関連が疑われるのも無理はない。ちゃんと合併症の危険性を理解してもらった上での手術だったのだろうか。

日本美容外科学会の脂肪吸引手術の患者向けページを見てみた。”姿見の中のあなたの体型が「締まりがない、ボテボテしている、この脂肪この贅肉が無くなったらいい」と思われる時が脂肪吸引の時期でしょう” とある。合併症については、”過度の量の無理な脂肪吸引は、脂肪塞栓や静脈血栓をつくる危険があります。これらは生命に重大な転機をもたらすことがあります。” と書いてあった。”この脂肪が無くなったらいいと思ったら脂肪吸引を” なんて、こんなカジュアルな感じでいいのだろうか。これを読んで、実際に手術のせいで自分が死ぬ可能性があると思う人は少ないのでは。それにしてもこのページ、日本語がヘン。英文を機械的に翻訳しているみたい。

手術の死亡率についてGoogle scholar で検索したところ、いくつか論文があって、”調べた限り死亡事故なし”みたいな論文もあったけど、割と信憑性が高そうだなと思ったのが、アメリカの美容外科学会雑誌に載っていたこの論文

これは1994年から1998年にかけてアメリカ美容外科認定の外科医によって施行された496,245件の脂肪吸引手術の合併症について調べたもの。リサーチ結果によれば、脂肪吸引手術の死亡率は5224人に一人。アメリカの自動車事故による死亡率が6097人に一人だから、交通事故に遭うよりもちょっと高い。アメリカでは年間30万人以上、脂肪吸引手術を受ける患者さんがいるとのこと。10万人あたり20人という死亡率を当てはめると単純計算では年間60人の死亡事故になる。メキシコなどで手術を受けた方や、学会認定の医師以外の施術を受けた方の合併症は把握できないため、実際の合併症事故はもうちょっと高いのかもしれない。こちらには、”liposuction is not trivial surgery, is not always benign, and is not quite as safe as intimated in glossy office brochures.” と結論づけてあった。つまり全然気軽じゃないってこと。

FDAのサイトに脂肪吸引手術を受ける前の心構え、副作用について書かれている記事があった。これは良くまとまっていて理解しやすい。

手術を受ける前に利益と危険性を検証したうえで、リスクをとるかどうか自分で決めることが大事と書かれている。美容外科側にとっては、詳しく説明している暇がないとか、こんなに詳しく説明したら患者さんが怖がって逃げてしまう・・とか問題があるのかもしれないけど。本来しなくても良い手術で命を落とす危険性があるわけだから、決断にあたっては慎重を期すべき。

脂肪吸引手術の思わぬ高額ぶりに興奮して、自分が受けるかの如く真剣に調べてしまった! Liposuction:脂肪吸引手術という単語を覚えたからヨシとするか。

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脂肪吸引手術の死亡率 への2件のフィードバック

  1. hana20042524 のコメント:

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  2. yukoxoxo2000 のコメント:

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