1987年に刊行された池波正太郎氏の映画エッセイ。「死ぬまでに見るべき1001本の映画」活動で古い映画作品を見ているので、昭和62年に映画を見ていた人の日常を知りたいと思い読んでみました。
映画は封切りで1300円の時代です。週1回は映画館で映画を見るべきという主張の本なのですが、かなり驚いたのが次の一節。「目撃者」というアメリカの映画を観た時のエピソードです。
ところが映画自体はそれほどよくないわけだ。こりゃ少しおかしいと。それなら是非、その原作の戯曲を読んでみたいというふうに好奇心を起こすんだな。
当時、これは日本では翻訳が出ていなかったから、ぼくらの先輩なんかで好きなやつは、アメリカから原書を取り寄せるわけだ。丸善に頼んでね。僕らは英語読めないから、ガリ版で全部自分で翻訳して、ぼくらに暮れたりする。それをぼくらは読むでしょう。
丸善に頼んで取り寄せ!自主翻訳してガリ版!!いにしえのオタクは大変な労力をかけて映画の原作本を読んでいたんですね。ガリ版、言葉としては知っているけど実際使ったことはありません。今では日本公開されるような作品の原作本は本屋さんに置いてあることも多いし、洋書もネットやオーディブルサイトでサクッと入手出来ます。メイキングや監督・俳優のインタビュー動画も簡単に見ることができるようになりました。映画ファンにとっては本当に良い時代になったなぁと思いながら読みました。
いつの時代のオタクも情熱がすごいですよね。
ガリ版刷り用の鉄筆が実家にあった記憶がありますが、実際に使ったことはありません。今も「ガリ版」とすぐネットで調べられたので、本当に良い時代になったと思います。
鉄筆・・・大変な労力を要しそうです。今は簡単に原作本が手に入るので、バンバン読むぞーーー!という気になりました。