Call the Midwife: A Memoir of Birth, Joy, and Hard Times
Written by: Jennifer Worth
Narrated by: Nicola Barber
時間:12時間2分
発音:イギリス英語。会話部分はコックニー訛り。
速度:160語/分前後。
オススメ度:5 out of 5.
【あらすじ】1950年台、ロンドンイーストエンドで助産師をしていた作者の回想録。
【感想】
感動した。涙も鼻水も止まらなかったほど。赤ちゃんが産まれる喜びだけではなく、1950年台の女性たちの生き様を描いたところが良い。スペインからイギリスに嫁ぎ、殆ど英語を話せないまま25人の子供を産んだ女性の幸せな家庭生活の心温まるエピソードもあれば、あまりにも惨めで不幸な生涯をおくった女性たちもいる。
特に心に残ったエピソードがある。赤ちゃんの誕生をどこからか聞きつけて必ず母子の健康を訊ねるみすぼらしい老婆の過去のエピソードには胸が詰まる思いだった。夫が3ヶ月から10歳までの子供5人を残し病死してしまった彼女は、10歳の長女に子供を任せ縫製工場で働いていた。ある日就業中の事故で腕に大怪我をし、働けなくなった彼女の生活は破綻する。貧乏のどん底に突き落とされ、乳児を亡くしてしても葬式代さえ出せず、赤ちゃんを箱に入れて川に流すシーンには50年以上前の事だと分かっていても涙が出た。
その後ワークハウスというチャリティ施設に入所したものの、家族は離れ離れに収容される。一度ワークハウスに入ってしまうと一家離散し、家族とは二度と会えなくなるという。ワークハウスは困窮した人々で寝る場所もないほど溢れかえっており、横になるスペースのない人々が、床に背中合わせで座った姿勢で支えあって寝ていたそうだ。
一家で餓死するよりは・・と苦渋の決断で入居しても、あまりにも酷い環境のため、子供たちは1人また1人と亡くなっていく。子供が全員亡くなった事を後に知らされるだけで葬式にも出られなかったのはあまりにも悲しく、彼女が精神を病んでしまったのも理解出来る。
50年以上昔の事ではあるが、自分たちの祖母が若かった時代だということを考えればそれ程昔の事ではない。社会が弱者を抱える余裕のなかった時代、戦争や病気で夫や父親を亡くした女性たちがどれほど大変な思いをしたのか知ることが出来て良かったと思う。
3部作だが、一冊ずつ完結しているので、この1冊だけ読んでも十分楽しめた。イギリスでドラマシリーズ化されているようなので機会があれば是非観たい。
YL: 7.5
語数:100,000語(概算)
Call the Midwife: A True Story of the East End in the 1950s
【今日の一枚】
アリゾナ化石の森国立公園の景色。