【映画】The Imitation Game (2014) / イミテーションゲーム

The Imitation Game (2014)

主演:ベネディクト・カンバーバッチ、キーラ・ナイトレイ、マシュー・グッド

評価: 10 out of 10

 

【あらすじ】

第2次世界大戦時、ドイツ軍が世界に誇った暗号機エニグマによる暗号の解読に成功し、連合国軍に勝機をもたらしたイギリスの数学者アラン・チューリングの人生を描いたドラマ。

(映画.comより)

 

【感想】ネタバレ感想です。Spoiler!

アメリカで11月28日に公開された、The Imitation Gameを観ました。日曜日朝9時台の回でしたが、7割程の入り。なぜか観客の殆どがお年寄りでした。

 

主演のベネディクト・カンバーバッチが、シャーロック風で良かったです。孤高の天才を演じさせたら非常にハマりますね。脳の高速回転に手足が追いついてなさそうなところとか、悪気は無いのに周りと上手く協調できずに誤解されるところなどが本当に自然!素敵でした。

 

ドイツ軍が世界に誇った暗号機エニグマには、”159 million million million” パターンの可能性があったとのこと。しかも毎日0時になるとルールがリセットされるのです。そして翌朝6時に新しく暗号化された指令が出回るので、18時間のうちに暗号を解読しなければなりません。政府の諜報機関に専門家が集められ、毎日毎日紙と鉛筆を持って必死に暗号を解きまくるのですが、京の単位の可能性がある暗号を人間の手で解読するのは全くの不可能。アランが設計した暗号解読機械がドイツ軍の暗号を解読することがなかったならば、第二次世界大戦の結果は違うものになっていたかもしれません。実際に、アランのおかげで第二次世界大戦の終結は2年早まり、何百万人もの命を救ったとされています。

 

ナチス・ドイツの侵略から全世界を救ったとも言えるアラン・チューリングでしたが、彼の功績は軍の最高機密とされ、エニグマが解読されたという事実も彼の存命中には公表されることはありませんでした。それどころか、当時は違法であった同性愛を理由に逮捕され、2年間の刑務所収監か、化学的去勢を受けるかの二択を迫られます。化学的去勢を選んだアランはその後青酸カリ入りのリンゴを齧って自殺。41歳でした。

 

エニグマの暗号を解くことで人類に大きく貢献し、現在のコンピューターの礎を築いた類まれなる才能が、同性愛を理由に迫害され、自殺に追い込まれる様子を見るのは辛かったです。イギリスでは1885年から1967年までの間に、およそ49,000人の同性愛者が有罪判決を受けたとのこと。大勢の名もなき人々が受けた理不尽な扱いを思うと涙が出ました。アランの場合は、2013年にエリザベス女王による正式な恩赦が認められましたが、死後60年以上経って功績が認められ、汚名を晴らせたとしても、亡くなった本人は勿論のこと、アランが自殺した当時には生きていたお母さんや家族などは、アランの功績を知ることもなく、同性愛者として罰せられたという辛い思いを抱えたまま亡くなったのではないでしょうか。

 

先週、映画館でFuryを観たのですが、第二次世界大戦を違う角度から描いたFuryとThe Imitation Game が自分の中でリンクして相乗効果をもたらした感じでした。Furyで描かれた、前線で戦車に乗って駒として動いた人々と、イミテーションゲームで描かれた、暗号を解くために後方で頭脳労働をした人々。それぞれが、置かれた立場で皆一生懸命頑張っているんだけれども、戦争が一旦始まってしまうと、個々の人々は大局に飲み込まれて、いくら個人が叫んでも考えても何も変えられなくなります。戦争に勝たねば!という大義のもと、不条理ばかりでどちらも切ない作品でした。

 

日本では2015年3月公開予定のようです。

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