When McKinsey Comes To Town (2022)
- Narrated by: Ari Fliakos
時間:10時間6分
発音:アメリカ英語
評価:4/5
コンサルティング会社マッキンゼーが、いかに社会に害を成しているかについて書かれた本。
マッキンゼーにコンサルタントを依頼したU.S.Steel とディズニーでは、今現在事故が起きていないからと徹底的なコストカットを行った結果、死亡事故が起きるようになったそうです。マッキンゼーの言い分としては、「コンサルティング会社はアドバイスをするだけ。アドバイスを受け入れて実行に移すかどうかは会社の責任」だそうで、コストカットのために熟練スタッフを減らし、訓練を十分に受けていない最低限の人数で安全性が疎かになった事に対するコンサルティング会社の責任は無いとのこと。クライアントから「利益を上げたい」と相談されたならば、コストカットにより不利益を被る人がいても会社の利益を最優先に考えることがコンサルティング会社の役割と割り切って良いのかと疑問を持ちました。
マッキンゼーは自動車保険会社へのコンサルティングとして、事故による請求を 難しくし、保険金を少なく支払うようなマニュアルを作成していました。例えば、自動車事故を起こした場合、弁護士を雇うと補償金が3−4倍多くもらえるというデータがありました。それを知った上で、顧客には「弁護士を雇うと弁護士費用を払う必要があるので、お客さまの取り分が少なくなりますよ」と、敢えて弁護士を付けないようアドバイスしていたというのです。
また、オキシコンチンの危険性を知りながら会社の利益を追求し、薬物中毒を増やしたとされるパーデュー社のコンサルティングも請け負っていました。それと同時に、医薬品の許可や違反を取り締まる立場のFDAにもコンサルティングを行なっていました。パーデュー社とFDA。別々のチームでコンサルティング業務を行なっており、それぞれのチームで情報を共有することはないので問題ないという考えのようですが、本当に社内でのやり取りは無かったのか外部からは伺いようもなく、疑われても仕方がないのではないかと思います。
明らかにマッキンゼーのコンサルティングが悪いと思われる事例もありましたが、マッキンゼーが悪いのか、資本主義自体が悪いのか判断に迷う事例もありました。この本は、マッキンゼーが行ってきた都合の悪い部分に焦点を当てているせいか、モラルのないとんでもない金儲け主義の集団のように描かれています。マッキンゼーは経営者側にとっては力強い味方ではあるけれども、一般的な消費者にとっては害を成す存在であると感じました。
Y L:7.5
語数:90,000語(概算)