【洋書】Reminders of Him (2022)

Reminders of Him (2022)

by Colleen Hoover

 

いつもベストセラーに名を連ねているコリーン・フーヴァー。多分嫌いなタイプの本だろうと食わず嫌いしていたのですが、ジェイムズ・パタースンとジョン・グリシャム2人を合わせたよりも売れているらしいと聞いて、試してみることにしました。そんなに売れているなら本当に面白いのかもしれない、と思いますよね。

 

まずは作家さんの背景から。コリーン・フーヴァー氏が最初に自費出版したのは32歳の時。時給9ドルのソーシャルワーカーで夫は長距離トラックの運転手。子供が3人いてトレーラーハウス暮らしをしており、生活は苦しかったようです。自費出版した本が、若い女の子たちの間でTikTokなどのSNSを通じて拡散され大人気に。今や押しも押されぬ人気作家になりました。ご自身のサクセスストーリーが本になりそうな勢いです。

 

今回選んだ本は Reminders of Him。洋書の集まりでシブエさんが「ありえない!」と内容に不満げなのに楽しそうにあらすじを語っていたのが印象的だったので読んでみることにしました。

 

ここからはネタバレあらすじです。

26歳のケンナは5年間服役していた刑務所から出所し、まだ一度も会ったことのない娘が暮らす街に引越してきます。

 

なぜケンナは服役していたのか。それは、ケンナが飲酒運転していた車が横転し、助手席に乗っていた恋人スコッティが亡くなったからなのでした。それだけなら不運な事故ですが、ケンナは運転席から這い出した後スコッティが死んだものを思い込み、パニックになり助けも呼ばずに自分だけ帰宅してしまったのです。数時間後に警官がケンナを探したところ、自宅で寝ているところを発見されました。しかも、死んだと思っていたスコッティは事故当時はまだ生きており、自力で道路まで這い出したところで亡くなっていたのです。ケンナが事故直後に通報していれば助かった可能性がありました。

ありえないあらすじですが、話はさらにこじれます。

 

有罪になり収監された後にケンナはスコッティとの子を妊娠していたことが判明しました。ケンナは自分の母親とは疎遠になっていたため、娘はスコッティの両親に育てられることになりました。一人息子のスコッティをケンナに殺された(と思っている)両親は激怒しており、ケンナは生まれたばかりのディエムを一度も抱くこともなく子供を取り上げられてしまいます。子供に対する親権はおろか、面会など全ての権利を取り上げられてしまったのです。

 

驚いたことにまだ捻りがあるのです。引越し初日に立ち寄ったバーでイケメンマスター、レジャーと知り合い肉体関係を結びかけますが、なんとレジャーは亡くなった元彼の親友だったのです!

えーーー!そんなことってありえるぅーーーー!?

 

と思えるならこの本を楽しめるのではないかと思います。私には無理でした。ケンナが出所した後、娘を育ててくれているスコッティの両親の家に連絡もせず突然現れるなんてことありますか??スコッティの両親が激おこなのは当たり前なのでは??普通、いきなり訪問する前にこれまでの罪を詫び、娘を育ててくれたことに対する礼を述べ、そちらに伺っても良いかと手紙を書いて相手の出方を見るのが良識的なのでは!と思ってしまいました。スコッティの両親がケンナに対して接近禁止令を出すのも無理はない。

 

レジャーは亡くなった親友の娘ディエムを自分の子のように可愛がっており、ディエムとの繋がりが原因で自分の結婚も破談になるほど大切に思っています。序盤にこの設定が出てくると、ケンナがレジャーと恋に落ち、スコッティの両親に許されて娘共々レジャーと幸せになるんだろうな、と展開が読めてしまいました。

 

文章自体はとても読みやすいです。小学校5年生くらいでも読めそうな感じなのですが、ストレートすぎる表現が読んでいて恥ずかしかったです。例えばレジャーが初めてケンナと会った時の表現。

Her face is a work of art. I wish there was a picture of it hanging on a wall in a museum somewhere so I could stand in front of it and stare at it for as long as I wanted.

オマエが美術館に飾りたいほど美しいと思った女は親友を見殺しにした女だぞ!と思いながら読みました。

読んでいた恥ずかしかった例文をもうひとつ。

Her voice is raspy and sexy.

エッチなシーンです。一応韻を踏んでいるのでしょうか。私が言われたならば百年の恋も醒めるレベルです。

 

これがジェイムズ・パタースンとジョン・グリシャム2人合わせたより売れている作家さんなんですね。2人の代わりに地団駄を踏んで悔しがりたい。

 

若い女性のハートをがっちり掴んでいるようなので、私には合わなかったというだけなのかもしれません。自己憐憫の情に共感できないと厳しいかもしれない。ただ、ありえない設定てんこ盛りなので嫌々ながらも最後まで読ませる勢いはありました。

 

YL;5−6くらい

語数:100,165語(概算)

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【洋書】Reminders of Him (2022) への2件のフィードバック

  1. hinajiro のコメント:

    こんにちは
    私もつい先日周りの若者達があまりにも酷評するので面白半分にこの作家の作品を読んだのですが、It Ends with Us は思った程悪くなかったと感想を書いたばかりでした。オーディオブックで聴き流していたからかな?

    でもこちらの作品の抜粋されている文章を読む限り酷いですね!ゾワっとしました。
    確かに私の読んだ本もありえない偶然のてんこ盛り&稚拙な言葉だけで話す登場人物のみの構成でしたが、期待値ゼロで読んでたのがよかったのかも。

    私も玉置浩二大好きです。
    みんながチェッカーズに夢中だった中学時代から安全地帯にどっぷりでした!

    • Yuko のコメント:

      hinajiroさん、こんにちは。It Ends with Usは長らくベストセラーリストにあるのでどちらを読むか迷いました。文章はイマイチながら設定があり得なさすぎてついつい読んでしまうんですよね。
      hinajiroさんも玉置さんがお好きとのことで嬉しいです。私もチェッカーズより安全地帯派でしたが、当時はなんだか言い出せなかったです。長く活躍してくれて有難いですね。

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