ベンチャー企業の方とお話してきました。

今週月曜日、アメリカからベンチャー企業のCEOとやらがやってきて共同研究をするかどうかの話し合いをする機会があったので参加してきました。

参加した・・というよりは、強制参加させられたという形でした。

毎週月曜日はバイトのため大学には行けないので、この日のプレゼンも私の上司がするはずだったのですが、先週の木曜日になって会議のダブルブッキングがわかり、急遽私がプレゼンすることに。もともと私が出した実験データなので出来ないことはないのですが、他の2つのグループは下っ端が出したデータを教授がプレゼンするという話だったので、そんな会で発表するのは恐れ多くて腸がよじれるような不安を味わいました。

 

急遽頼まれた英語プレゼンのうえ、夜は接待で日本食を食べに行くから世間話用意しといて!と言われ、どれだけプレッシャーを受けたことか!嫌々ながら出席した会だったのですが、結果的にはすごく為になりました。アメリカからベンチャーのCEOが来るとは言っても、事前情報もなく、いったいどんな人が来るのかわからずドキドキしていましたが、意外にもわりと若い男性でした。とても経歴が立派な方。理系学部を卒業して、イギリスの超有名大学に奨学金で留学し、理学博士を取得。しばらく研究者として働いたものの、ビジネス方面に転向するためにアメリカ東海岸のビジネススクールに入学し、MBAを取得。在学中に友人と共同で最初のビジネスを立ち上げ、わずか数年で従業員150人規模の会社に成長させたところで、大手企業に売却。そのお金を元手として、新たな会社を起業。アメリカ国内のみならず、世界各国の研究者とコラボして新しい技術を売っているということでした。学歴・経歴を聞いて逆算してみたところ、若く見えるけど46歳くらい?と思っていたのですが、私と同じ年と聞いた時には眩暈・立ちくらみがしました。同じ年数生きてきたはずなのに、時間の密度が違いすぎる・・・。

 

プレゼンはというと、総勢5-6名くらいの小規模なミーティングだったので、あまり緊張することなく無難にこなすことが出来ました。意地悪な質問もなく、聞かれたことはごくまっとうなことだったので一安心でした。他科の教授2名は、若い頃にアメリカ留学をした経験があるそうですが、英語プレゼンは苦手とのことでした。

こちらのプレゼンが終わった後、CEOさんからも会社の紹介プレゼンがありました。プレゼンが上手な人って、堂々としていて熱意のこもった話し方をされますね。彼の会社が主に行なっている技術の専門的なことなどは知らなかったのですが、私のような専門外の人にもわかりやすいだけではなく、どうして私たちが提携することが大事なのかがうまく強調されていました。自分のやっている仕事がexcitingだと心から思っているプレゼンを聞いていると、このプロジェクトで一緒に仕事ができたらどんなにか楽しいだろうと思いました。プレゼンって大事!Stanford大学のe cornerというPodcastをいつも楽しみに聞いていたので、成功しているベンチャー企業の方のプレゼンを目の前で聞けて、さらに色々質問できる機会を持てて本当によかったです。

 

アメリカの研究環境が恵まれていると思ったのは、日本と違って効率的で、人事も流動的だということ。私は自分の研究が、直接的に人の役立つ日がくることはないだろう、と思っていました。それは人に使えるようになるまでのステップが長く煩雑すぎること、自分の技術力の限界、設備、研究費の問題等、とうてい小さなグループで解決できるような問題ではないからです。それがアメリカの企業だと、プロジェクトマネージャーがいて、プロジェクトを成功させるのに必要な人材を集めてきます。材料を作る専門家、機械の専門家、お金を集めてくる人など。そして自分のところだけで出来ない事は、今回のように外部とコラボすればよい、という考えのようです。うちの大学だと、研究者がお金を集め、動物に餌をやり、動物舎を掃除し、研究し、出来ない技術があれば時間をかけて習得するか、諦めて出来る範囲の事をするか…という感じなので、一人で出来ることは限られています。人とモノがダイナミックに動いて、すごいスピードで研究が進んでいくところがうらやましいと思いました。もちろん、日本にも独自に素晴らしい研究をされている機関はあると思うのですが、規制が多く組織の動きも遅い日本では、同じことをやるのにもより多くの努力が必要なのではと思います。

 

会社を成功させて世界各国を飛び回る同い年の彼を羨ましい〜と思いながら話を聞いていましたが、ベンチャー企業は浮き沈みが激しくて大変なようです。会社を興したころは、寝る暇もないくらいずっと働き詰めだったし、何度も失敗をして大変な目にもあったと。今は会社が軌道に乗って、次々と新しいプロジェクトが進んでいるので、毎日楽しんで仕事をしているとのことでした。立派すぎるCEOと自分を比べて一瞬凹みましたが、たくさんのポジティブなエネルギーをもらいました。羨むのは簡単だけど、彼の頑張りを聞くと、仕事や生活にたいする取り組みのintensityの違いが、今の私との差を生んだんだなと納得しました。私はそこまで頑張ってなかったし、リスクをとるような行動も避けていました。失敗するのが嫌だからって、負荷がかかるような事を避けてはいけないなと実感しました。今回のミーティングも、バイトがあるからといって最初は出席しない予定にしていましたし。英語プレゼンがプレッシャーだからと避けていたら、こういう勉強になる機会をみすみす逃してしまうところでした。学会以外の自由な討論の場でプレゼンをしたり、外人さん相手に”世間話をする”という経験をしたことで考えるきっかけが出来てよかったです。リスクを取って行動するからこそ必死で頑張れるし、負荷が大きくて苦しみながら働くことで大きく成長するんですよね…。私も嫌なことを避けてばかりいないで失敗を恐れずに何でも挑戦しないといけない、と思ったのでした。

英語についても色々と思うところがありました。忘れないように次の日記でまとめたいと思います。


 

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ベンチャー企業の方とお話してきました。 への7件のフィードバック

  1. ピンバック: yukoxoxo2000

  2. hanatowaka のコメント:

    とてもためになる話でした。次の英語の備忘録も楽しみにしています!

    • yuko のコメント:

      hanaさんへ。すごい興奮しながら書いたので分かりにくかったとは思いますが。得るものが多いミーティングでした!

  3. EBaby のコメント:

    ゆっこさんの高揚した気持ちがこちらまでビンビン伝わりました。シェアーしてくれてありがとう~。続きも待ち遠しいです!

    • yuko のコメント:

      だいぶ興奮してました。そして1週間興奮が持続して眠れませんでした! それほど色々と考えるきっかけをくれた出会いに感謝です。

  4. Hirohide のコメント:

    読んでいるこちらは、そのような体験をされているYukoさんに、眩暈・立ちくらみがしています(座って読んでいますが・・・)。個人的な素晴らしい体験を、こうしてシェアして頂き、ありがとうございます。私も、前向きなYukoさんの文章スタイルから、ポジティブなやる気の素だけ頂いて、現在の自分の立場の中で活かしていきたいと思います!

    • yuko のコメント:

      はい。同じ年と聞いた時には眼前暗黒感が出現しました。びっくりしすぎて3.5秒くらい心臓が止まっていたかもしれません。この人と同じ種類の成功を得るのは私の目標ではありませんが、勤勉さや前向きな態度など、良いところは真似したいと思いました。

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