【オーディオブック】HRC: State Secrets and the Rebirth of Hillary Clinton

HRC: State Secrets and the Rebirth of Hillary Clinton Written by: Jonathan Allen, Amie Parnes

時間:15時間48分

発音:アメリカ英語。

速度:155語/分前後。本人朗読ではない。

オススメ度:★★★★☆

 

2008年、ヒラリー・クリントンが民主党の大統領候補としてオバマと戦って敗れたところから、国務長官の任務を終えた2012年まで、2人の政治記者が取材によってヒラリーさんの功績をまとめたもの。タイトルのHRCは、 Hillary Rodham Clintonの略。

 

オバマ大統領が就任した直後、”Team of Rivals” として国務長官に指名されたヒラリーさんだが、当初は何度も断ったらしい。しかし、オバマ大統領は”Yes” 以外の返事を受け付けなかった。国務省のスタッフをヒラリー陣営が指名するという条件も受け入れてもらって国務省入りしたようだ。同じ民主党とはいえ、オバマ大統領とは激しい選挙戦を繰り広げた直後だったので、両陣営のスタッフのわだかまりも相当あったらしい。
ヒラリーさんは、非常に勤勉、真面目な女性という印象。激務だが、仕事に全く手を抜かず、いったいどうやって長時間集中力を保っていられるのかと周囲が驚く程の働きぶり。国務長官は、外交関係の仕事が主なので国内政治に関われないかわりに、夫のクリントン氏がオバマ氏の二期目の大統領選を手伝い、ヒラリー氏の2016年の大統領選に向けての下地固めをしていたようだ。

 

この本で繰り返し強調されていたのは、”忠誠心”という言葉。クリントンチームは、過去に関わった人々の”貸し借り”台帳のようなものを作成しており、”あの時の選挙戦で応援演説をしたのに今回の大統領選挙で寝返った”、”子供さんが就職する時に推薦状を書いてあげたのにオバマ陣営に加わった”などずっと覚えているらしい。エクセルシートに裏切り者〜味方までを1−7にわけてスコアリングしてあるというから驚いた。夫妻は、助けを必要としている友人には心を尽くして手助けする一方で、自分たちが助けを必要としていた2008年の大統領選で裏切った友人・知人には手厳しかった。オバマ陣営を応援することで、”恩を仇で返した”とみなされた人は、数年後の選挙で対立陣営を応援されたために落選し、きっちりお返しをされたようだ。政治の世界での身の振り方の難しさを垣間見たエピソードだった。

 

2011年、民主党下院議員のアンソニー・ウィナー氏が、妻以外の女性に自分の下半身画像をTwitterで送りつけたというニュースがあった。ヒラリー氏には、フーマ・アバディーンさんという娘同然に可愛がっている部下がいるのだが、ウィナー氏は、フーマさんの夫であった。クリントン夫妻は、2人の婚約パーティを自宅で主催するなどして懇意にしていたため、思わぬところでスキャンダルに巻き込まれてしまったようだ。クリントン夫妻には何の落ち度もなさそうだが、過去のルインスキー不倫スキャンダルを思い起こさせたとのことで、不本意なとばっちりだったと思われる。ウィナー氏は、ニューヨーク市長に立候補するような有力な若手議員だっただけに、フーマさんとの婚姻関係を通じてさらなる地盤固めをしたかったのであれば、アテが外れたところか思わぬところで足を引っ張られた形になったのでは。

 

 

現時点では2016年の大統領選に立候補するかどうかの表明はされていないものの、この本を読むかぎり、立候補するつもりで準備しているんだろうなという印象を受けた。立候補したならば、2012年リビアでのアメリカ在外公館襲撃事件の責任問題や、健康不安(これまで何回か血栓症で入院している)、ウィーナー議員のTwitter猥褻写真スキャンダルなどが問題になりそう。国務長官時代のヒラリー氏は、国民からの人気が高かったようだが、大統領候補となると当然ながら人気だけでは乗りきれない。大統領に立候補するのは、”自分が大統領としてふさわしいと思うから”と述べているヒラリー氏だが、国民も同じ思いなのか。2016年の結果を楽しみに待ちたい。

 

HRC: State Secrets and the Rebirth of Hillary Clinton

YL8.5 (概算)

語数 130,000語(概算)

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