2022年に観た映画

2022年は映画館で88本、自宅で旧作212本、合計300本の映画を鑑賞しました。

新旧それぞれベスト5作品を選んでみました。

新作ベスト5(順不同)

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム

ピーターの正体がスパイダーマンだということが全世界にバレてしまい、皆の記憶を消すために、ドクター・ストレンジに危険な呪文を依頼。マルチバースの扉が開き、ドック・オク、グリーン・ゴブリン、エレクトロ、サンドマンなどの過去の強敵たちがスパイダーマンたちに襲いかかる。

 

過去2作のスパイダーマンたちとネットフリックス版デアデビルが登場!チャーリー・コックスが現れた時は思わず息を飲みました。スパイダーマンシリーズを大切に思っている人達が制作した雰囲気があって非常に良かった。

 

The Batman 

バットマンになって2年目、ゴッサム・シティの権力者をターゲットとした連続殺人事件が起きる。犯行現場には謎なぞが残されており、史上最狂知能犯リドラーにバットマンが翻弄される話。

 

ロバート・パティンソンが好きなので!2年目のバットマンの未熟さとロバート・パティンソンの拗らせた様子がマッチして良い!アメコミらしいアクションものではなく、ブルース・ウェインが優れた探偵として丹念に謎を紐解いていくフィルム・ノワール風なところも良い。拗らせた中学生の夢が詰まったような手作りの限界に挑んだバットモービルにも胸が高鳴りました。前髪はらりのロバート・パティンソンの魅力に抗えず劇場に10回観に行きました。

 

アネット

スタンダップコメディアンのヘンリー(アダム・ドライバー)とソプラノ歌手アン(マリオン・コティヤール)の愛の物語。

オープニングからロックオペラ調でユニークだな〜というぬるい第一印象が吹き飛ぶほど衝撃を受けました。ヘンリーとアンが結婚した時は2人ともキャリア順調でラブラブな結婚生活を送っているのですが、娘アネットが生まれた頃からヘンリーの人気が衰えはじめ、妻との間に成功格差が生まれる・・というストーリー。

娘のアネットはマリオネットなのです・・・。ナゼ!?と思いましたが、両親ともにアネットのことを1人の人格のある子供として扱わず、パペットのように自分の都合・欲望を投影し押し付けていただけなんだと思わせる最後でした。このお人形さん、表情、仕草が本物の幼児そのもので恐ろしいほどの馴染みかたでした。配信にも円盤にもなっていないけどもう一度観たい作品です。

 

チタン

エイドリアンは子供の頃に交通事故に遭い、頭蓋骨の一部がチタン製になる。自動車に強い興味を持っていたエイドリアンは車ショーのモデルとなった。行きずりのファンの男性を殺し、ハウスシェアの住人も次々と殺していく・・指名手配されたエイドリアンは10年間行方不明となっていた少年アレクシアに成りすます。

 

車と性交!?一体何を見せられているんだ!と刺激が強くてびっくりでした。女性なのに少年になりすますなんて行き当たりばったりにも程があるだろう!と小心者の私はいたたまれませんでした。しかも10年間行方不明だったアレクシアを探していた父親のビンセントは屈強な消防団長で、逃げ出すことも叶わず絶体絶命のピンチに陥ります。さらにエイドリアンは妊娠しており、少年のフリをしているのにだんだんお腹が大きくなってくるのです・・・。緊張感半端ない。バレたらどうなるの!?とハラハラしましたが、ビンセントの猛烈な父性に圧倒されました。ビンセントは生まれた子が半チタン製であろうとも絶対に子供を守りきる狂人めいた気概が感じられました。え?子供ってエイドリアンと車の子!?と普通はそこに驚くのでしょうが、強烈な親父に圧倒されてそのあたりはどうでも良くなりました。愛とは・・と奇妙な親子の絆を描いた狂気の作品でした。ほとんどのフランス映画は嫌いですが、これは良かった。

 

トップガンマーヴェリック

左遷され砂漠でテストパイロットをしていたピート・マーヴェリック・ミッチェルは、とあるならずもの国家が秘密裏に建設していたウラン濃縮プラント破壊ミッションの訓練を行う教官としてノースアイランド海軍航空基地に呼び戻される。

 

トップガン36年ぶりの続編。今作品を見るために前作を見直した時は、古い作品ということもあってか、それほど良い作品とは思えませんでした。が!トップガンマーヴェリックは素晴らしかった。還暦トム・クルーズが頑張っていました。若くて生意気なトップガン候補生たちに熟練の技を見せつけるマーヴェリックがひたすらかっこよかったのです。トム・クルーズカッコいい!だけではなく、バーで若者軍団におっさん扱いされたり、お会計の数字が老眼でよく見えなかったり、背の高い若者たちに囲まれて小さく見えたりと、今までとは違う、イケイケだけではない老いや弱さ、みたいなものを隠さずに見せたのもこれまでとは違ったトム・クルーズの覚悟のようなものを感じました。

 

一つのことに打ち込んだ結果、60歳になっても一流の仕事ができるということに感動しました。グランドシネマIMAXでは最後に拍手が沸き起こっていました。

 

旧作ベスト5 (順不同)

お熱いのがお好き(1959)

ミュージシャンのジョーとジェリーはマフィアの殺人現場を目撃。ギャング達に見つかって処刑されてしまう前に町から逃げ出そうとする。金も仕事もない2人は、ちょうど募集が出ていた女性だけの楽団に女装して乗り込む、というストーリー。

 

脚本が良かった。特に最後のNobody’s perfect! 完璧な人などいないさ!の台詞の完璧さに感動しました。お金持ちお爺さんに女装がバレた時、お爺さんは女装男のことを捨てるか、本物の美女であるマリリン・モンローと結ばれてめでたしめでたしなのかと思っていました。私が脚本を任されたら駄作になること間違いなし。1959年に女装男と金持ち爺さんのカップル成立を示唆させるのはすごいと思いました。ジャック・レモンとトニー・カーティスの掛け合いがとにかく楽しかった作品。

 

La Jetee(1962)

子供の頃、空港で男が死ぬのをみた。その後、第三次世界大戦が起こり世界は崩壊する。大人になった少年は、時空に穴をあけ過去と未来を繋げる。

 

28分、モノローグの写真スライドショー。1962年にタイムトラベル作品を作るほどの技術は無かったと思うので、この形式で良かったんだろうなと思えた作品。写真だけでSF作品が成り立つんだ、という驚きと写真が芸術的で印象に残りました。

1995年、ラ・ジュテをもとにしてTwelve Monkeysが作られましたが、芸術的な美しさ、余韻のある暗さは失われてしまったと感じました。

 

バベットの晩餐会(1987)

デンマークの寒村で暮らす老姉妹のもとへ、フランス革命からひとり逃れてきた中年女性バベットが身を寄せる。料理が得意なバベットは老姉妹の召使いとして長年地域の貧しい人々に食事を提供していた。ある日フランスの宝くじに当選し、まとまった金を手にしたバベット。周囲の人々は彼女がフランスに帰国するものと考えていたが、バベットはこれまでの感謝を込めて晩餐会を主催する。

 

デンマーク映画。面白くなさそうな雰囲気を醸し出していたのに良い作品でした。実はバベットはフランスで有名なレストランのシェフ。亀や小鳥などを食材とした本格フレンチのコース料理が素晴らしかったです。晩餐会に招待された住人たちが、その美味しさに目を丸くしながら食事を楽しむ様子が生き生きとしていて、素朴ながらも人生を楽しむ姿が感動的でした。デンマークの田舎でパリの一流シェフのコース料理を味わえる事などないでしょう。きっとこのご老人たちは、生きている間中、この晩餐会のことを噂するに違いない、と映画が終わった後の様子まで目に浮かぶようでした。料理とは、形に残らないけれど人々の記憶に残る芸術だと思いました。ほのぼのと良い作品。

 

ラストタンゴ・イン・パリ(1972)

冬のパリ。中年男のポールは、アパートの空き部屋で偶然出会った若い娘ジャンヌをいきなり犯す。だが2人は何事もなかったかのように別れる。ジャンヌには婚約者がいた。一方、ポールは妻が自殺したばかりで人生に絶望していた。2人はその後もアパートの空き部屋で会い続け、互いの肉体におぼれていくが…。

 

主演女優の同意を得ていないラブシーンがあったということで物議を醸し出し、なかなか「好き」とは言い出せない作品。マーロン・ブランドの疲れた中年男ふうの演技が素敵でした。人生後半に入ったとはいえ、まだ何かやり残した感覚はある。ただどうして良いか分からないような中年の悲哀を感じました。役どころ以上にマーロン・ブランド本人の苦悩も出ているような雰囲気。名を明かさずアパートの部屋で熱烈に愛し合っていた時は素敵だったのに、素性が分かり男が自分の事を語り出すと急に魅力が褪せていく過程が魔法が解けて急に現実に引き戻されたかのように急に我に返った作品。いつの間にか主人公と同化していたのでしょう。ストーリーや結論自体は面白くないのに雰囲気だけで好き・・と思ってしまいました。

 

パンズ・ラビリンス(2006)

フランコ独裁政権の恐怖政治がスペインを覆いつくしていた暗黒時代。
少女オフェリアは優しかった仕立て屋の父親を亡くし、母が再婚した
ヒダル大尉のもとへ赴く。臨月の妻を無理に任地に呼び寄せる大尉は、
まさに独裁のシンボルのような恐ろしい男。直面する現実は残酷なことばかりだった。
そんなとき彼女が見つけたのは薄暗い森の中の秘密の入り口。
妖精の化身である虫たちに導かれ、そこで出会った<パン>牧神に告げられたのは、
オフェリアこそ地下の王国の王女であるということ。
オフェリアは王女として戻るための3つの試練を与えられ“パンズ・ラビリンス
<牧神の迷宮>”での冒険が始まる・・・。

 

2回目の鑑賞で好きになった作品。死ぬまでに見るべき1001作品鑑賞修行を始める前に観たときは、ストーリーのみに着目していて、悲しすぎて二度と見る事は出来ない・・と細部まで注目する心の余裕はありませんでした。

ストーリーを知った上で改めて観てみると、細部までこだわりぬいた造形美が素晴らしく、ギレルモ・デル・トロ監督の才能がいかんなく発揮されていると思いました。悲しくて繰り返し観られないのだけが難点。

 

以上、新旧合わせて10作品でした。年間300本観るのは大変でした。観たい作品がたくさんあったので沢山見ればいいじゃない!と思って始めた300本チャレンジでしたが、見れば見るほど気になる関連作品が数珠繋ぎで増えていく・・・。嬉しい悪循環です。特に関連なく読んでいた本と同時期に同じ話題が出ることも多く、たくさん見聞きすることの効能も感じた1年でした。時間を捻出するために家事を外注し、運動も出来なかったので、2023年はまず運動時間を確保することを優先しようと思います。体力がないとたくさん観られなくなりますしね。


 

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