【オーディオブック】Spare(2023)

Spare (2023)
By: Prince Harry The Duke of Sussex
Narrated by: Prince Harry The Duke of Sussex
時間: 15時間 39 分

発音:イギリス英語

評価:5/5

サセックス公爵ヘンリー王子の回想録。Henryが本名ですが、生まれてすぐからHarryと呼ばれていたそうで、日本語表記だとヘンリー王子なのに、英語ではPrince Harry の謎が解けました。

 

暴露本として前評判は悪かったのですが、予想外の面白さでした。ロイヤルファミリーの泥沼の争いを明かすことを目的にしているわけではなく、王室の次男坊として生まれたハリー王子の個人的な回想本です。

 

ハリー王子が生まれた日、父であるチャールズ3世はダイアナ妃に

Wonderful! Now you’ve given me an heir and a spare — my work is done.

と、本気とも冗談ともつかない発言をしたそうです。長男ウィリアム王子が後継者、次男は予備。冗談だったにしても親の口から言ってほしくない台詞です。

 

本人の回想は、ダイアナ妃が事故死した時から始まっています。ハリー王子は当時12歳。夜中に父がハリー王子の膝に手を置きながら事故の事を話したそうです。チャールズ3世はあまり感情を表に出すことはなく親子でもハグすることもなかったようで、ハリー王子は翌朝9時に使用人が部屋に訪れるまで1人で過ごしました。ハリー王子は長らく母が亡くなったという実感がなかったそうで、きっとどこかに隠れているに違いない、ほとぼりが冷めた頃に兄弟を迎えにきてくれるはず、と信じていたそうです。故ダイアナ妃のことを表現する時に亡くなった、のではなく“disappear ”と表現していることに胸が痛みました。

 

ウィリアム王子、ハリー王子が立派だなと思ったのは、父であるチャールズ3世が長らく不倫関係にあったカミラ妃との交際について兄弟に話した時のエピソードです。間接的に母親を不幸にした人であり、カミラ妃の存在がなければ両親は離婚しなかったかもしれない。事故は起きなかったかもしれない・・と拒否するのではないかと思ったのですが、お父さんには幸せになってほしい、カミラ妃には直接の責任はない、と割り切り交際を認めたそうです。ただし、結婚はしないで欲しいという条件付きで。

 

ずっと妻子に対して不誠実だったチャールズ3世に対しては良い印象はなかったのですが、ハリー王子との仲は悪くはなかった様子が描かれています。若いお父さんたちのようには遊んでくれなかったとはいうものの、何か問題があると相談に乗ってもらったりして家庭を壊した父親に対しての恨み辛みはなさそうでした。歴史やシェイクスピアに造詣が深く、環境問題活動に熱心に取り組み、毎日下着いっちょうで三点倒立エクササイズをしている、など普段知ることの出来ない現国王の様子が興味深かったです。

 

メガン妃との出会いは、知人のインスタグラムを見かけて一目惚れしたことがきっかけだったそうです。すぐに知人に連絡したところ、彼女がイギリス滞在中であることが判明。出会った日がダイアナ妃の誕生日だったため運命を感じてしまったようです。遠距離にもかかわらずデートやオンライン会話、チャットを重ね、出会って1年後には同棲を経て婚約に至ります。最初にウィリアム王子・ケイト妃に紹介した際は、お二人がドラマスーツの大ファンだったこともあり、2人とも大興奮だったそうです。メガン妃にプロポーズする前にエリザベス女王の許可も得て、家族の強い反対はなかったようなのですが、兄のウィリアム王子は“アメリカ人の女優さんとうまくいくのか“と懸念を示していたそうです。

 

メガン妃に悪気はなさそうですが、普通にしているだけでも失礼を振り撒いているように見えるのがもどかしいところです。王室との溝を深めてしまったのは残念ですが、妻を守ろうとする姿勢は素晴らしいと思いました。

 

YL:8

語数:150,000語(概算)

カテゴリー: ノンフィクション タグ: , , , パーマリンク

コメントを残す