2024年Goodreads のChoice Award フィクション部門1位に選ばれた作品。2024年度のGoodreads Choice Awardは各部門、全く知らない作品ばかりで、自分の選書アンテナが鈍ってしまったのかもしれないと心配になってしまいました。もしくは世界的なベストセラーにはならなかったのか。とりあえずフィクション、ミステリー、SF部門一位作品は読んでみることにしました。
The Wedding Peopleは、夫と離婚したばかりの教授フィービー・ストーンが主人公。夫も、その不倫相手も自分と同じ職場であったため、私生活でも職場でも居場所が無くなり、さらに飼い猫まで亡くなってしまったことで人生のどん底にいます。
死ぬつもりで思い出のリゾート地でホテルを予約したフィービーでしたが、何かの手違いで、そこは結婚式で貸し切りになっていたはずでした。
花嫁であるライラはお金持ちの一人娘。癌で余命短い父の担当医と恋に落ち、何億円もかけた夢の結婚式を成功させるため少しのミスも許さない勢いで、なぜ結婚式のため貸し切ったホテルにあなたがいるのかと、エレベーターでフィービーを問い詰めます。死ぬつもりで投げやりになっていたフィービーは今夜死ぬつもりであることを、見ず知らずの花嫁に正直に答えてしまうのです。
ここからはネタバレ感想。
フィービーと花婿が出会って恋に落ちる話だったら嫌だな・・と思いながら読み進めたところ、まさにその通りになってしまうのですが、話の運び方が上手いせいか、全然ロマンス寄りではなく、出来過ぎの嫌な感じはありませんでした。
最初はフィービーの鬱々とした内面が淡々と語られるだけで、一向に物語が動き出す兆しが見えないので、もうこれ以上読み進められないかもしれないと思いました。
ただ、自殺に失敗してからは、何か吹っ切れたのか、フィービーの態度が変わり始めます。自分に正直に、他人によく思われたいという欲も吹っ切れたためか、正直に接することで相手とも深い関係を築くことができるようになったのです。
ひとり自殺するつもりで豪華ホテルを予約した女と、結婚式に出席するために集まった“Wedding People“との対比や、予期せぬ繋がりが面白かったです。
オーディオブックのナレーターが、低く落ち着いた大人の女性の声で、離婚しどん底まで落ちた古典文学の女性教授というキャラクターにビッタリ合っていて、物語の没入感を高めていました。
良くありがちな、軽い読みものふうに始まったので、あまり期待はしていなかったのですが、さすがに読者が選んだ1位だけあって面白かったです。偶然の出会いを通じて人生が好転していく様子に気持ちが明るくなりました。
YL:7.5くらい
語数:87,847語(概算)