- Narrated by: Chris Lew Kum Hoi, Billie Fulford-Brown
時間:21 時間 46分
発音:イギリス英語
評価:3/5
【ネタバレ感想】
1828年広東。コレラ大流行で唯一の肉親である母を失った少年は、オックスフォード教授に命を救われ、教授の被保護者として渡英する。ロビン・スウィフトと改名した少年は、教授の元で言語学と翻訳を叩き込まれた後、オックスフォード大学Royal Institute of Translation、通称Babelに入学する。
この世界では翻訳が魔法として使われている。銀の棒の両側に同じ意味の異なる言語を記すと、二つの言語の意味の微妙な違いから魔力が生まれるのだ。魔法の使用者は、銀の棒に書かれた二つの言語に精通している必要があり、Babelは数百年以上にわたり、翻訳者を養成し、大英帝国の植民地主義を支えていた。ロビンは新入生3人と親しくなり、Babelに隠された秘密に迫っていく・・という話。
翻訳と銀を使った魔法体系が目新しく、途中までは星5だ!面白い!と興奮していたのですが、極端な理想主義が破滅に向かうストーリーに気持ちがついて行かず、結局星3評価でした。副題にもOr the Necessity of Violence: An Arcane History of the Oxford Translators’ Revolution、とありますしね。理不尽な体制を倒すために暴力の必要性は正当化されるのか、がテーマでもあります。
いくら大英帝国の植民地主義が酷いとはいえ、主人公たちがやったことはテロ活動であり、罪のない一般人まで巻き添えにしてしまうのは良くない。最後にバベルを壊してしまう展開には具合が悪くなりそうでした。確かにバベルは植民地主義を支えていましたが、数百年にもわたる学問の集大成が学生たちにより一瞬にして破壊されてしまったのには納得がいきませんでした。若さゆえの暴走でしょうか・・・。辛かったです。
YL:8−9(概算)
語数:162,656語(概算)